岸田首相「5年以内に防衛費増」 インド太平洋支援強化
23年春に新計画、国際会議で表明

【シンガポール=根本涼】岸田文雄首相は10日、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で講演した。日本の防衛力について「5年以内に抜本的に強化し、裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意だ」と言明した。「自由で開かれたインド太平洋」の行動計画を2023年春までに策定すると表明した。
5本柱で構成する「平和のための岸田ビジョン」を打ち出した。自由で開かれたインド太平洋の新たな展開、安全保障の強化、「核兵器のない世界」の推進、国連の機能強化、経済安保などでの国際連携の5項目を示した。
行動計画は政府開発援助(ODA)の拡充などを含める方針だ。インド太平洋諸国に今後3年間で少なくとも20億ドル程度の巡視船など海上安保分野の供与を進める。同分野で800人以上の人材を育成する。
ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ「国際秩序の根幹が揺らぎ、国際社会は歴史の岐路に立っている」と訴えた。「台湾海峡の平和と安定も極めて重要だ」と強調した。
日本を攻撃する国への「反撃能力」に関し「あらゆる選択肢を排除せず検討する」と言及した。
「日本の平和国家としてのあり方は不変だ」と主張し「憲法・国際法の範囲内で日米同盟の基本的役割分担を変更しない」と約束した。
「核兵器のない世界」の実現に向け、すべての核兵器国に核戦力の情報開示を求めると言明した。8月に予定する核拡散防止条約(NPT)再検討会議の成功に全力を尽くすと語った。
ロシアなどの拒否権発動が問題になった国連安保理の機能強化は「議論を主導する」と力説した。ウクライナ危機で脆弱さが浮かび上がったサプライチェーン(供給網)は5年間で100件を超えるプロジェクトの支援を提供する。
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