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金融課税、公平負担へ「是正」 具体的議論は来年以降

与党税制改正大綱、脱炭素対応や自動車税は積み残し

自民、公明両党は10日、2022年度与党税制改正大綱を決定する。企業の投資や賃上げに関して税優遇の拡大と縮小を使い分けて取り組みを促す。岸田文雄首相が意欲を示してきた金融所得課税の強化は「総合的な検討」をすると明記。高所得者層ほど所得税の負担率が低い状況を「是正」すると打ち出したものの具体的な議論は来年以降に積み残した。

自公両党は9日、それぞれ税制調査会の総会を開き大綱案を了承した。10日に与党政策責任者会議を開き正式に決定する。

柱になるのは賃金を積極的に引き上げる企業への優遇税制だ。「分配」の実現に向け「抜本的に強化する」と強調した。「長期的な視点に立って一人ひとりへの積極的な賃上げを促す」と記載。雇用者全体の給与総額の増額分を法人税額から差し引く控除率は大企業で最大30%、中小企業で最大40%にする。

同時に賃上げにも投資にも消極的な企業を対象に、研究開発などに関する投資減税の優遇を停止する措置を強める。優遇税制のアメだけではなく、ムチも織り交ぜて企業に圧力をかける。継続的に雇用する人の給与総額の伸びが22年度は0.5%、23年度は1%に届かず、かつ国内設備投資額も一定の要件を満たしていない場合に優遇を受けられなくなる。

税財政を使った賃上げは企業活動をゆがめかねないが、自民党の宮沢洋一税制調査会長は記者団に「成長と分配という岸田政権の大きな目標を助けることができる税制改正になる」と話した。

10月31日の衆院選後に税調の幹部人事が固まったこともあり、賛否が分かれるような重要案件の議論は軒並み先送りした。

金融所得課税の強化は当初、岸田文雄首相が自民党総裁選で政策として掲げた。10月の首相就任直後に検討する意向を示したものの、衆院選前に市場が反発するのを懸念して年末に結論を得ることは早々に見送った。

大綱での表現は首相の意向も踏まえて強めた。「総合的に検討」との文言は21年度と同じ。「所得階層別の所得税負担率の状況を踏まえ」としていた部分について、22年度は高所得者層ほど金融所得の割合が高く「所得税負担率が低下する状況がみられる」と問題視した。

これを「是正」するという言葉も加え、税負担の公平性の観点から議論を進める必要性を指摘した。年間の総所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がる。首相が「1億円の壁を打破する」と総裁選で訴えたことが念頭にある。宮沢氏は「来年以降、経済、マーケットの状況も踏まえながら検討する」と明言した。

脱炭素の実現に向けた税のあり方にも具体的な方向性は示さなかった。産業競争力の強化やイノベーションにつながるかなどを見極め「国益の観点から、主体的かつ戦略的に検討する」との表現にとどまった。炭素税を含めたカーボンプライシング(炭素の価格付け)には触れなかった。

脱炭素の推進に向けて自動車関連の税制のあり方も議論が必要になる。大綱では21年度の表現を引き継ぎ、今後の技術革新や「保有から利用」への環境の変化などを踏まえて「中長期的な視点に立って検討を行う」と記述した。

車検時の自動車重量税に適用するエコカー減税は23年4月末に期限を迎える。これに合わせて議論する見通しで、次の税制改正で主要な論点になる。

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