経済安保法案の責任者を「厳しく注意」 8日に担当外す
官房長官「処分の可能性ある行為把握」
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松野博一官房長官は9日の記者会見で、経済安全保障の法整備の責任者だった藤井敏彦前内閣審議官に関し「処分につながる可能性のある行為を把握した。事実関係を調査している」と述べた。「国家安全保障局長から厳しく注意し、異動させることとした」と説明した。
藤井氏は経済安保推進法案の準備室長を務めていたが、8日付で出身省庁の経済産業省へ出向した。松野氏は「職務を続けさせるのは困難と判断した」と語った。後任に財務省出身の泉恒有内閣審議官が就いたと明らかにした。
藤井氏を巡っては「文春オンライン」が9日、兼業届を出さずに企業から報酬を得ていた疑いや記者との不適切な関係について伝えた。松野氏は「記事は承知している。調査して判明した事実に基づき、適切に対処していく」と発言した。
法案は今国会に提出する予定で、2月中に閣議決定する方針で作業を進めてきた。
松野氏は9日の衆院予算委員会で「世界各国が戦略的物資の確保や重要技術の獲得にしのぎを削るなか、経済安保は待ったなしの課題だ。引き続き提出に向けた準備を加速したい」と強調した。
公明党の竹内譲政調会長は9日の記者会見で「様々な事情があって担当者が代わるならやむを得ない。後任者がしっかり引き継いでほしい」と話した。
- 著者 : 日本経済新聞社政治・外交グループ編
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