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政府の「骨太の方針」原案の要旨

政府の「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)原案の要旨は次の通り。

川崎重工が開発した水素運搬船「すいそふろんてぃあ」

【第1章 新型コロナウイルス感染症の克服とポストコロナの経済社会のビジョン】

▽世界の主要なプレーヤーとして着実に成果を上げながら、一人ひとりが豊かさを実感できる経済社会を実現していくため、改革のスピードを一層速めていく。

▽デフレに決して戻さないとの強い決意の下、外需を取り込みながらあらゆる政策を総動員して経済回復を確実なものとしていく。雇用を確保しつつ成長分野への円滑な労働移動を促進するとともに、賃上げモメンタムを維持・拡大し、成長と雇用・所得拡大の好循環を目指す。

▽女性や非正規雇用、生活困窮者、孤独・孤立状態にある方々などへのきめ細かい支援を継続し、目配りの利いた政策運営を行う。

▽グリーン化、デジタル化、地方の所得向上、子供・子育て支援を実現する投資を重点的に促進し、力強い成長を実現して世界をリードしていく。

▽将来のあるべき経済社会に向けた構造改革・対外経済関係の大きな方向性について、国民および経済社会全体で共有するための基本的考え方を、今後経済財政諮問会議に専門調査会を設置し、明らかにしていく。

▽感染症への対応は、社会経済活動を継続しつつ感染拡大を防止し、重症者・死亡者の発生を可能な限り抑制することを基本に対策を徹底する。緊急時対応は、より強力な体制と司令塔の下で推進する。感染症が短期間で急増する場合は、昨冬の2倍程度を想定した患者数に対応可能な体制に緊急的に切り替える。

感染症患者を受け入れる医療機関に対し、診療報酬や補助金・交付金による今後の対応のあり方を検討し、引き続き実施する。都道府県の要請に基づき、公立・公的、民間病院の病床を活用できる仕組みや都道府県を越えて患者に対応できる仕組みを構築する。

▽効果的な治療法・治療薬や国産ワクチンの開発・生産体制の強化を進めるとともに、新たな感染症に備え、国内のワクチン開発・生産体制の強化のため、「ワクチン開発・生産体制強化戦略」を推進する。

▽病床や医療人材の確保に関する協力を国や自治体が迅速に要請・指示できるようにするための仕組みや、平時からの開発支援を含め治療薬やワクチンについて安全性や有効性を適切に評価しつつ、より早期の実用化を可能とするための仕組み、ワクチンの接種体制の確保など、より実効性のある対策を講じることができるよう法的措置を速やかに検討する。

【第2章 次なる時代をリードする新たな成長の源泉~4つの原動力と基盤づくり~】

▽2030年度の温暖化ガス排出削減目標を13年度比46%減という新たな目標とした。さらに50%減の高みに向け、挑戦を続ける。この実現に向け、①脱炭素を軸として成長に資する政策を推進する、②再生可能エネルギーの主力電源化を徹底する、③公的部門の先導により必要な財源を確保しながら脱炭素実現を徹底する、という3つの考えの下で推進する。

▽産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長と国民生活のメリットにつなげていくため、グリーン成長戦略に基づき、洋上風力、水素、蓄電池など重点分野の研究開発、設備投資を進める。

グリーンイノベーション基金による野心的なイノベーションに挑戦する企業への10年間の継続支援、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の活用等、企業の脱炭素化投資を後押しする。グリーンボンド等の取引が活発に行われるグリーン国際金融センターの実現等に取り組む。

▽デジタル時代の官民インフラを今後5年で一気呵成(かせい)に作り上げる。デジタル庁を核としたデジタルガバメントの確立、民間のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促す基盤整備を加速する。

▽2022度末にほぼ全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目指す方針の下、普及に取り組む。マイナンバーカードの健康保険証、運転免許証との一体化などの利活用拡大、スマホへの搭載等について、国民の利便性を高める取り組みを推進する。オンライン化されていない行政手続きの大部分を、5年以内にできるものから速やかにオンライン化し、オンライン化済みのものは利用率を大胆に引き上げる。

▽民間部門全体におけるDXやデジタル投資の加速に官民一体で取り組む。DXの基盤である5Gの整備計画を税制支援も通じて加速し、地域カバー率を2023年度末に98%まで高めるとともに、ローカル5Gの開発実証等を進める。CBDCについて、政府・日銀は、2022年度中までに行う概念実証の結果を踏まえ、制度設計の大枠を整理し、パイロット実験や発行の実現可能性・法制面の検討を進める。

▽地域経済活性化支援機構の人材リストを早期に1万人規模へ拡充しつつ、地銀等の人材仲介機能を強化し、地域活性化起業人制度等と連携する。

▽最低賃金について、感染症拡大前に我が国で引き上げてきた実績を踏まえて、地域間格差にも配慮しながら、より早期に全国加重平均1000円とすることを目指し、本年の引き上げに取り組む。

▽子供の貧困、児童虐待、重大ないじめなど子供に関する様々な課題に総合的に対応するため、年齢による切れ目や省庁間の縦割りを排し、妊娠前から、妊娠・出産・新生児期・乳幼児期・学童期・思春期を通じ、子供の視点にたって、各ライフステージに応じて切れ目のない対応を図るとともに、就学時に格差を生じさせない等の教育と福祉の連携、子供の安全・安心の確保、データ・統計の充実等を行い、困難を抱える子供への支援等が抜け落ちることのないような体制を構築することとし、こうした機能を有する行政組織を創設するため、早急に検討に着手する。

▽選択的週休3日制度について、育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業での活用などが考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図る。

▽年代・目的に応じた効果的な人材育成に向け、財源のあり方も含め検討し、リカレント教育を抜本的に強化する。企業を通じた支援のみならず個人への直接給付も十分に活用されるよう、教育訓練給付の効果検証により、その活用を推進する。

▽外為法上のいわゆる「みなし輸出」の管理強化について、2022年度までに実施する。

▽「対日直接投資残高を2030年に80兆円、GDP比で12%とすることを目指す」ことを新たなKPIとして設定する。

【第3章 感染症で顕在化した課題等を克服する経済・財政一体改革】

▽平時と緊急時で医療提供体制を迅速かつ柔軟に切り替える仕組みの構築が不可欠。病院の連携強化や機能強化・集約化の促進などを通じた将来の医療需要に沿った病床機能の分化・連携などにより地域医療構想を推進する。

▽2022年度から団塊の世代が75歳以上に入り始めることを見据え、全ての世代の方々が安心できる持続可能な全世代型社会保障の実現に向けた取り組みについて、その実施状況の検証を行うとともに、社会保障全般の総合的な検討を進める。

▽今回の感染症対応で明らかとなった医療提供体制の広域的対応の遅れ、特に大都市圏における広域的対応の未進捗に対処する必要がある。厚生労働省は大都市圏における第3次医療圏を超えた医療機関・保健所サービスの提供等について、広域的なマネジメントや自治体間の役割分担の明確化を図る。

▽社会資本整備重点計画等に基づき、集約・再編等の広域的取り組みによる公的ストック適正化も含め予防保全型のメンテナンスへの早期転換を図る。個別施設計画の内容充実、公共施設等総合管理計画の見直しを促進する。PPP/PFIなど官民連携手法を通じ民間の創意工夫を最大限取り入れる。人口20万人未満の地方自治体への優先的検討規程の導入要請や策定支援等により、導入促進を図る。

▽応能負担の強化等による再分配機能の向上を図りつつ経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を構築する観点から、税体系全般の見直し等を進める。

▽「経済あっての財政」との考え方の下、引き続き、感染症の影響など経済状況に応じた機動的なマクロ経済運営を行うとともに、生産性の向上と賃金所得の拡大を通じた経済の好循環の実現、海外需要の取り込み等を通じ、デフレ脱却・経済再生に取り組み、実質2%程度、名目3%程度を上回る成長、600兆円経済の早期実現を目指す。

▽骨太方針2018で掲げた財政健全化目標を堅持する。ただし、感染症でいまだ不安定な経済財政状況を踏まえ、本年度内に、感染症の経済財政への影響の検証を行い、その検証結果を踏まえ、目標年度を再確認する。

▽社会保障関係費については、基盤強化期間においてその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針とされていること、経済・物価動向等を踏まえ、その方針を継続する。

▽EBPMの基盤であるデータ活用を加速するため、全ての基幹統計をデータベース型で原則公表するよう、データ公表様式の標準化方針を策定する。感染症等の社会経済のリアルタイムデータを迅速に収集し、分析能力を向上させ、きめ細かな政策立案につなげる。こうした取り組みの一環として、政府の各種の基本計画等について、Well-beingに関するKPIを設定する。

【第4章 当面の経済財政運営と2022年度予算編成に向けた考え方】

▽政府は、決してデフレに戻さないとの決意を持って、経済をコロナ前の水準に早期に回復させるとともに、成長分野で新たな雇用や所得を生み、多様な人々が活躍する「成長と雇用の好循環」の実現を目指す。

▽感染状況や経済的な影響を注視し、新型コロナウイルス感染症対策予備費の活用により臨機応変に必要な対策を講じていくとともに、我が国経済の自律的な経済成長に向けて、ちゅうちょなく機動的なマクロ経済政策運営を行っていく。

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