「まん延防止」適用決定 東京・京都・沖縄、12日から

政府は9日の新型コロナウイルス対策本部で、東京、京都、沖縄の3都府県で緊急事態宣言に準じる措置を取る「まん延防止等重点措置」を適用すると決めた。12日からで、京都と沖縄は5月5日、東京は同11日までとする。すでに実施中の大阪、兵庫、宮城を含め対象が6都府県に広がる。

菅義偉首相は9日、首相官邸で開いた対策本部で、変異ウイルスに関し「大阪、兵庫で感染者の7割前後を占め、東京では2割まで高まっている。最大限の警戒を続ける」と述べた。
対象地域は都市部が多いため、ほかの地域との往来や外出自粛を求める。首相は9日、官邸で記者団に「不要不急の都道府県間の移動は自粛をお願いする」と語った。法的な拘束力や罰則はない。
東京都は23区と武蔵野、立川、八王子、町田、調布、府中の6市、京都府が京都市、沖縄県は那覇市など沖縄本島の9市を対象とする。対象地域内の飲食店に営業時間を午後8時までに短縮するよう要請する。
医療提供体制の逼迫を受けて入院患者が退院する基準を緩和する。これまで感染力の強い変異ウイルスに感染した人はPCR検査で2回陰性を確認するなどの基準を設けていた。
従来型ウイルスの基準と同様に軽症・中等症であれば発症から10日間、重症なら15日間経過したうえで、症状の改善から72時間たてば退院できる。
重点措置の対象地域の知事は改正特別措置法に基づき、時短要請と命令ができるようになる。正当な理由がないまま命令に従わない事業者に20万円以下の過料を科せる。
経営が苦しくなる飲食店に時短要請への協力金を支払う。大企業に1日20万円を上限に売上高の減少額の4割、中小企業に売上高に応じ4万~10万円を原則支給する。
感染リスクが高い飲食店の利用者には感染防止対策の徹底を求める。飲食店はマスクを着用していない客の入店を拒否できる。アクリル板の設置や店内の換気などを要請し、感染防止策が十分か確かめるため、自治体による見回りを強化する。
大規模なイベントへの参加人数は上限を5千人に引き下げる。東京と京都は緊急事態宣言を解除した後、1万人まで緩和した。沖縄は緊急事態宣言が発令されていなかったため収容定員の50%まで可能だった。
重点措置は2月に施行した改正特措法で新設した。新規感染者数や病床の逼迫度合いなどの指標を基に4段階の感染状況で2番目に深刻な「ステージ3」相当で適用する。「ステージ4」相当で発令する緊急事態宣言に至る感染拡大を防ぐ。
大阪など関西圏は変異ウイルスの感染が広がり、東京も変異ウイルスの割合が高まりつつある。重点措置の効果が薄ければ、宣言の発令につながるおそれもある。東京都の9日の新規感染者数は537人と3日連続で500人を上回った。
政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は9日の衆院厚生労働委員会で「『ステージ4』に近づく可能性はある。宣言を考慮するのは当然だ」と言及した。
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