人権指針ILOに準拠、夏策定へ初会合 実効性課題

経済産業省は9日、サプライチェーン(供給網)から人権侵害を排除する人権デューデリジェンス(DD)の企業向け指針の策定に向けた検討会の初会合を開いた。今夏をめどに指針案を示す。国連や国際労働機関(ILO)など国際機関が示す基準と同等をめざす。具体的な調査手順を示すなど実効性をどう担保するかができるかが課題になる。
会合はオンライン形式で開いた。日本繊維産業連盟やILO、弁護士、学者ら15人が委員として参加した。外務省や法務省などもオブザーバーとして出席した。会合では米欧での事例や国際機関の人権指針など、今後の議論の土台になる情報を共有した。会合は月1回ほど開き、今夏をめどに指針案をとりまとめる。
指針に必要な要素や留意点についても意見交換した。指針では供給網上の強制労働や児童労働などのリスクを企業が把握できるよう具体的な手法を示す。企業の実務に役立ててもらうため、手引書や解説などもつける方針だ。将来的な法制化の必要性も検討する。
主要7カ国(G7)のなかで日本は唯一、人権に関する法制度や指針がない。日本政府は2020年にビジネスと人権に関する行動計画を策定したが、企業に求められる具体的な対応が示されていない。新たな指針は国連や経済協力開発機構(OECD)などの基準を満たせる内容にする。