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経常黒字の低迷続く、訪日客再開も改善効果は限定的

インバウンド、コロナ前並みなら年2.5兆円収支押し上げ

海外との貿易や投資収益の状況を表す経常収支の黒字が低迷している。財務省が8日発表した4月の速報値は前年同月比55.6%減の5011億円だった。2021年夏以降は原油高などで黒字が減るか赤字の月がほとんどだ。10日に外国人観光客の受け入れを再開しても輸入コストの増加を打ち消すには力不足で、収支の大きな改善は見込みにくい。

経常収支のうち、貿易収支は6884億円の赤字だった。前年同月は2822億円の黒字だった。輸入は32.8%増の8兆7017億円となり単月として過去最高だった。資源高と円安が響いた。輸出は17.2%増の8兆133億円と3月に次ぐ過去2番目の高水準だった。

海外子会社からの配当金などの第1次所得収支は2兆3706億円の黒字だった。日本企業の海外での稼ぎを貿易収支などの赤字が減殺する構図が続いている。

訪日外国人の消費額から日本人が海外で使った金額を引いた旅行収支も経常収支を構成する。4月は155億円の黒字だった。訪日客が多かった新型コロナウイルス感染拡大前は2000億円を超える月が多く、経常黒字を押し上げていた。

政府の経済財政諮問会議の民間議員は訪日客が19年の水準に戻れば経常収支が年2.5兆円改善すると試算する。19年は訪日客だけで1日平均9万人近かった。10日に受け入れを再開するものの1日の入国者は日本人と合わせて2万人まで。完全回復は遠い。

第一生命経済研究所の永浜利広氏は「入国者を絞ったままでは経常収支を改善する効果は限定的だ。感染状況をみながら受け入れを広げるべきだ」と話す。

民間議員はこのほか、輸入に頼る新型コロナワクチンや治療薬の国産化で経常収支が1.9兆円、原子力発電所の再稼働で化石燃料の輸入を減らせば1兆~1.1兆円改善するとみる。ワクチンや治療薬の開発は時間がかかる。原発再稼働も安全性の確保が大前提となる。いずれも中長期の課題で、経常収支の急速な改善は見通しづらい。

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