原発建て替え行動指針、経産省審議会が了承 運転延長も

経済産業省の審議会は8日、廃止が決まった原子力発電所の建て替えや、最長60年と定めた運転期間の延長を盛り込んだ行動指針をまとめた。新増設や建て替えは「想定しない」としてきた政府方針を変えることになる。原子力を脱炭素化のけん引役と位置づけ、再稼働を推進するために関係者の総力を結集することも盛り込んだ。
経産省が8日に開いた総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の原子力小委員会がまとめた。一部の委員が反対したものの、賛同する委員が多かった。今後、別の審議会「基本政策分科会」で経産省としての最終方針をとりまとめ、12月中に官邸で開くGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議に報告する。
次世代の原発の開発・建設について、まずは廃止決定した炉の建て替えを対象にする。「(使用済み核燃料などの)バックエンド問題の進展も踏まえつつ具体化を進めていく」と記載した。経産省は同じ発電所内の別の場所での建て替えを想定していると説明した。
現在は原則40年、最長60年と規制する運転期間については、原子力規制委員会による審査などで停止していた期間を運転期間から除き実質的に60年超に延長できるようにする。規制委による安全審査を受けたうえで運転する前提は変えない。
電力の安定供給や脱炭素化の進捗に応じて経産省が40年時点で運転期間の延長を認定する仕組みを作る。将来的に運転期間の上限を撤廃する可能性も見据え、新制度に移った後も一定期間後に必要に応じてさらに見直すことも明記した。
経産省は11月の前回会合では「アクションプラン」として提示したが、議論をふまえ「行動指針」に変更した。

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