/

オンライン診療、なお難路 初診の解禁、恒久化へ

オンライン診療に積極的に取り組む医師はまだ少ない

新型コロナウイルス感染症に対応するため時限的に解禁されていた初診からのオンライン診療が、恒久化に向けて前進する。河野太郎規制改革相が8日、規制改革の実施計画に盛り込む方針を表明した。2022年度から実施する方向だが、本格的に普及するには診療報酬の引き上げなど課題が多い。

「望まれる方がオンライン診療をしっかりできるようになった。道が開かれるということだ」。河野氏は8日の記者会見でこう述べた。初診から認めるのは、過去に受診歴のある「かかりつけ医」を原則とするが、かかりつけ医がいない人にも一定の条件のもとで容認する。

具体的には、健康診断の結果や他の医療機関での診療記録などが得られる場合は、かかりつけ医以外でも容認する。また、かかりつけ医のいない若年層などでは、事前に医師とオンラインでやりとりして病気の履歴や基礎疾患の状況などを伝え、医師と患者の双方が合意した場合に認める。具体的な事前のやりとりをどう設計するかは、厚生労働省の検討会で議論する。

オンライン診療は20年4月、新型コロナの院内感染を防止するための特例措置として初診から解禁された。その後、菅義偉首相が恒久化する方針を示して河野氏と田村憲久厚労相、平井卓也デジタル改革相が協議し、かかりつけ医に限って初診から容認する案が浮上していた。

医師会など医療現場には受診歴がなく病状をあらかじめ把握できない場合、誤診につながるとの懸念が根強い。これに対し、政府の規制改革推進会議からは特例措置から後退しないよう求める声があがり、厚労省の検討会で受診歴がない患者の扱いについて議論していた。

規制改革会議の委員を務めるメディヴァの大石佳能子社長は「かかりつけ医でなくても、医師が自らオンライン診療の可否を判断できるようになり評価できる」と受け止める。

政府は18日にも恒久化の方針を閣議決定し、22年度からの実施を目指す。実際にオンライン診療が普及するには、今後、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で議論する診療報酬の水準が焦点になる。

コロナ禍で特例的に認められている状況でさえ、電話も含めた遠隔診療の登録医療機関は全体の15%程度で昨年から横ばいが続く。初診から実施している医療機関はさらに少なく、全体の6%程度にすぎない。

オンライン診療は患者にとって便利でも、医療機関にはシステム投資の費用がかかったり、対面診療を削って診療時間を確保したりと負担がかかる。「診療報酬が対面の半分程度にとどまる現状では、医療機関が積極的にやりたがらない」(大石氏)

恒久化に向けた診療報酬の方針には「対面診療との関係を考慮し」と書き込まれる見通しだ。一定の報酬の差を残すことに含みを持たせたという見方がある。

特例解禁していた1年間で、初診から遠隔診療を受け付けた医療機関でも1カ月間の実施件数は10件前後だった。オンライン診療を利用するには専用アプリが必要になるケースもあり、高齢者などには広がっていない。導入コストを下げて本格的な普及につなげるには使い勝手のいいシステムもカギになる。

また、スマートフォンなどで薬の飲み方を指導するオンライン服薬指導について、オンライン診療だけでなく対面診療を受診した場合にも実施できるようにする。22年夏をメドに電子処方箋のシステムの運用を始め、診療からの薬の配送も含めた医療のデジタル化を進める。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン