60年超原発の改正案、規制委が了承見送り 1人反対 - 日本経済新聞
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60年超原発の改正案、規制委が了承見送り 1人反対

原子力規制委員会は8日の定例委員会で、原子力発電所の60年超の運転を可能にする安全規制の制度案の決定を見送った。地震や津波の審査を担当する石渡明委員が「安全側への改変とは言えない。この案に反対する」と意見を述べたためで、来週の委員会で改めて議論する。

山中伸介委員長と他の委員の計4人は賛成した。山中氏は「多数決をとるのはあまり好まない」と述べた。

8日、制度案に対して一般から寄せられた2000件超の意見をふまえて議論した。同案は運転開始後30年目から10年ごとに古い原発の安全性を審査し認可する制度で、現行の原則40年、最長60年の規定は原子炉等規制法から削除することになる。2022年12月に石渡氏を含む全員が了承し、約1カ月にわたって一般の意見募集を実施していた。

同日、石渡氏は「科学的技術的な知見に基づいて人と環境を守るのが規制委の使命だ」と述べ、今回の制度改正が「新知見に基づいた改変ではない」と指摘。制度案では規制委の審査が長引くほど運転期間を延ばせるため「二律背反になってしまう」と懸念を示した。「我々が自ら進んで改正する必要はない」とも述べた。

山中氏は同日の定例の記者会見で「私はこれまで多数決を一度もとったことがない。時間的余裕があれば議論を尽くしたい」と強調。改めて石渡氏と議論する考えを示した。委員会までに山中氏が説明や説得を試みることはないという。

山中氏は会見で石渡氏の意見について「誤解されている部分があると思う」との見方を示し、「(安全規制の)基準を満たさなければ運転を認めない。運転期間が延びたら危ないということにはならない」と述べた。

原子力規制委員会設置法は委員会の議事について「出席者の過半数」で決めると規定する。過去には20年に研究炉の廃止措置に関する規則改正、16年にテロ対策設備の審査結果の取りまとめ方など、多数決をとって決定した例がある。

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