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首相、安保戦略の改定表明 経済安保とミサイル防衛強化

所信表明演説

岸田文雄首相は8日の所信表明演説で、外交・防衛の基本方針である「国家安全保障戦略」を改定すると表明した。安倍政権が2013年に策定してから初の見直しとなる。ミサイル防衛や経済安全保障への取り組みを強化するのが柱となる。

国家安保戦略は外交・防衛の理念や基本方針を示し、課題への対策をまとめたものだ。改定に合わせ、おおむね10年間の防衛力の目標水準を定める防衛大綱と、5年ごとの防衛費の見積もりや必要な装備品の数量を決める中期防衛力整備計画(中期防)もつくり直す。

首相は自民党総裁選で3文書の見直しを公約に掲げて勝利した。所信表明演説では「ミサイル防衛能力など防衛力の強化、経済安全保障など新しい時代の課題に果敢に取り組む」と訴えた。経済安保とミサイル防衛を例示した。

国家安保戦略を改定する背景にあるのは日本を取り巻く安保環境の変化だ。現在の戦略をつくった13年と比べて中国の国際的な影響力が増し、海洋進出は一段と活発になった。

制定当時も中国に対応する必要性は踏まえていたものの、中国が国際協調路線に転換するとの期待がまだ残っていた。

民間の先端技術が軍事転用される時代になり、海外流出を防ぐ手立てが不可欠になった。新型コロナウイルス禍によって重要物資の供給網を確保する重要性も高まった。

経済と安保の境界があいまいさを増す状況を踏まえ、新戦略に経済安保の内容を加える。

中国や北朝鮮が開発を進める迎撃困難な新型ミサイルへの対応も必要となる。首相は総裁選で敵の発射拠点をたたく「敵基地攻撃能力」の保有を「有力な選択肢だ」と述べた。

所信表明演説では「さらなる効果的措置を含むミサイル防衛能力」との言及があった。敵基地攻撃能力を念頭に置いた発言とみられる。

政府は10月31日投開票の衆院選後に戦略改定の議論を始める方針だ。まず新戦略の内容をとりまとめ、22年末までに防衛大綱と中期防の見直しの方向性をつける案がある。

中期防はもともと23年末が次の改定時期で、想定通りに進めば1年前倒しとなる。

公明党は敵基地攻撃能力の保有に慎重姿勢を崩していない。来夏の参院選を控え、与党内の調整がつかなければスケジュールは後ろにずれる。

首相は所信表明演説で主要国との外交方針も説明した。対中政策については普遍的価値を共有する国々と連携し「主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める」と強調した。「同時に対話を続け、共通の諸課題について協力していく」とも触れた。

来年は日中国交正常化50年にあたる。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は4日に首相へ送った祝電で「対話と意思疎通を強化し、新時代の要求に合致する中日関係の構築に努めるべきだ」と呼びかけた。

韓国は「重要な隣国」との表現を踏襲した。元徴用工問題などで日韓関係は戦後最悪といわれる。「韓国側に適切な対応を強く求めていく」と語った。菅義偉前首相が1月の施政方針演説で触れた「両国の関係は非常に厳しい状況にある」という表現は盛り込まなかった。

北朝鮮については拉致問題解決のため、金正恩(キム・ジョンウン)総書記と無条件で向き合う決意を表明した。ロシアとは「領土問題の解決なくして平和条約の締結はない」と改めて断言した。

外交・安保政策の基軸は日米同盟だと言明し「日米豪印も活用しながら『自由で開かれたインド太平洋』を力強く推進する」と述べた。

安倍政権が16年に打ち出した概念で、中国の影響力拡大を踏まえて自由や法の支配を重視した国際秩序をつくる構想だ。新しい国家安保戦略にも反映する。

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