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日フィリピン、訓練拡大へ協定検討 対中国で引き留め

2プラス2初開催

日本、フィリピン両政府は9日、都内で外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を初開催した。自衛隊とフィリピン軍の共同訓練の拡大に向けた協定を検討する。東南アジア諸国連合(ASEAN)はウクライナ侵攻でロシアや中国への配慮が目立つ。安全保障協力をテコに引き戻しを急ぐ。

ASEAN加盟国との2プラス2はインドネシアに次いで2カ国目となる。フィリピンは東・南シナ海をつなぐ海上交通路(シーレーン)上にあり、米国の同盟国でもある。共同訓練や防衛装備品の提供などで自衛隊との連携を深めており、協力を次の段階に上げる。

日本側から林芳正外相と岸信夫防衛相、フィリピン側からロクシン外相とロレンザーナ国防相が出席した。林氏は共同記者発表でウクライナ侵攻に関し「侵略が明白な国際法違反で国際秩序の根幹を揺るがす行為であると確認した」と述べた。

自衛隊とフィリピン軍の協力拡大を柱とする共同声明をまとめた。共同訓練に関する「円滑化協定」と物資や役務を融通し合う「物品役務相互提供協定(ACSA)」の締結も含めて検討する方針を記した。

米国と同盟を結ぶ日本は英国、オーストラリアを準同盟関係と位置づける。フィリピンとこれらの協定を結べば英豪などに次ぐ協力水準に達する。

日本が安保の関係強化を急ぐのはウクライナ侵攻を巡るASEANの対応に危機感を強めるためだ。ASEANで対ロ制裁を科すのはシンガポールのみで、対ロ包囲網の穴となりつつある。

ロシアの国連人権理事会の理事国資格を停止した決議にはベトナム、ラオスが反対に回った。インドネシアやマレーシア、カンボジア、タイも棄権しロシアを孤立に追い込めない一因となった。

インドネシアは20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の議長国を務める。バイデン米大統領はロシア排除を求めるものの、インドネシアは慎重姿勢を崩していない。

中ロのような権威主義国が東南アジアで影響力を強めれば、東アジアの秩序は揺らぎかねない。共同声明は「力による一方的な現状変更に反対する」とクギを刺し「(ウクライナ)侵略はアジアにも影響を及ぼす」と訴えた。

中国は経済を武器に対抗する。

「フィリピンから多くの優良製品を輸入しよう」。習近平(シー・ジンピン)国家主席は8日、ドゥテルテ大統領と1時間ほど電話協議した。

フィリピンにとって中国は香港を含めると世界最大の輸出先だ。中国との関係強化は経済成長につながる。フィリピン大統領府によれば、両国を「戦略的協力関係」に昇格することも議論した。

習氏は大型プロジェクトの建設を推進する方針も伝えた。ドゥテルテ氏の主要政策である大型インフラ整備計画などを後押しする。中国企業の投資や起業に関し「現代化プロセスを助ける」と発言した。

ドゥテルテ氏は「習氏が私と話したがっている」と中国から今回の協議を持ちかけたと明らかにした。フィリピンと米国は3月から4月にかけて過去最大規模の定例合同軍事演習を実施しており、水を差すタイミングでの協議となった。

海洋安保が専門の東海大の山田吉彦教授は「フィリピンは日本にも中国にも曖昧な態度を取る。経済を考えればやむを得ず、日本の役割はフィリピンを中国に傾けさせ過ぎないことだ」と分析する。

「最終的に頼るのは米国で日米の枠組みでフィリピンをつなぎ留めておくための安保協力が重要になる」と話す。(三木理恵子、北京=羽田野主、マニラ=志賀優一)

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