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柏崎刈羽検査、6項目で改善必要 運転禁止解除見通せず

原子力規制委員会は8日の定例会合で、東京電力ホールディングス柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)のテロ対策不備の検査の途中経過を公表した。確認した27項目のうちで6項目で改善が必要とした。同原発には事実上の運転禁止命令が出ている。約1カ月遅れの5月にもいったん報告書をまとめるが、検査は夏以降も続き解除の時期は見通せなくなった。

8日の公開会合では、検査の実務を担う原子力規制庁が改善状況を規制委に報告した。2022年9月に提示した27の確認方針のうち、6項目が不十分と判断した。不審者の侵入を検知した信号が防護本部に伝わらなかった事例があった。誤警報を減らす取り組みも、東電自身が設定した18年度比10分の1にする目標が達成できなかった。

検査官が伝えた課題を記録せずに対応しようとする事例があった。監督責任のある立場の社員に現場の情報が上がらず、技術的な議論も十分になされていなかったケースもあった。

規制委はこれまで、規制庁の検査は4月までに終えて検査報告書を決定し、春ごろに是正措置命令を解除するかどうかの判断に移る考えを示していた。判断の時期は想定よりも1カ月程度遅れる。

山中伸介委員長は1月末に東電柏崎刈羽原発を現地調査し、課題を指摘していた。ただ8日の会合で山中氏は「この1カ月ではほとんど改善が見られていない。(担当社員の)人数を増やすだけではダメだ」と述べた。午後の記者会見でも禁止命令の解除は「かなり難しい」と強調した。

規制委は1月末、東電側に検知器の不具合改善や職員の能力の向上、さらに不祥事の再発防止の対策を一過性にしない取り組みといった3つの課題への対応が不十分と伝えていた。いずれも課題が解決されていないと規制委は今回判断した。

山中氏は記者会見で「5月初めから半ばごろに(検査を継続するかどうか)結論を出す」と述べた。検査を継続する場合は「そこから1〜2カ月で結論を出して(運転禁止命令解除に向けた)次のステップにいけるとは思っていない」と指摘した。

会合では5月中に検査結果をとりまとめる方針が決まった。ただ検査は結果がまとまった後も続く見通しだ。

検査にかかる期間はのべ2000時間が目安とされたが、既に3300時間を超えて長期化している。

柏崎刈羽原発は17年に規制委の審査を合格した。安全対策工事を進め、21年1月に工事完了を公表した。直後に一部完成していなかったことが判明。その前後にIDカードの不正使用や侵入検知装置の不具合といった核防護上の問題が相次いで明らかになり、再稼働に向けた作業が止まった。

東電は電気料金の値上げ申請の際に10月に7号機の再稼働を織り込んだ。仮に7月に是正措置命令が解除されたとしても、10月の再稼働に間に合うかは依然見通せない。

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