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鈴木財務相「麻生流できない。地味でも職責果たす」

岸田政権・閣僚に聞くまとめ読み①

岸田文雄新内閣の閣僚が10月上旬、日本経済新聞などとのインタビューに相次いで応じました。鈴木俊一財務・金融相は、麻生太郎前副総理兼財務相と自らを比較しながら「地味かもしれないが堅実に職責を果たしたい」と語りました。(主なやりとりは次の通り)

「財政規律の旗おろさない」(鈴木俊一財務・金融相)

――ご自身の持ち味をどう捉えていますか。

「自分ではなかなか分からないが、1つは粘り強さがあると思っている。自民党の総務会長時代は、意見のある人には最後まで意見を述べて頂いた。粘り強く誠実に対応することが政治の面では重要であり、そういう力が私にはあると思う」

「麻生氏は首相経験者であり、副総理も兼任された。圧倒的な存在感だった。その中でリーダーシップを発揮されたと思うが、麻生流のやり方はやろうと思ったってできない。私は地味かもしれないが堅実に職責を果たしたい」

――岸田文雄首相は数十兆円規模の経済対策を年内にまとめる方針です。新型コロナウイルス対策で強まる歳出増圧力と財政規律をどう両立しますか。

「財政規律については、財政への市場の信認を確保することが必要だ。新型コロナのような危機発生時の対応余力を確保するためにも、財政健全化の道筋は確かなものとする必要がある」

「ここはしっかりと旗をおろさずに、2025年度の国と地方の基礎的財政収支の黒字化に向けて取り組みを強めていきたい。大胆な重点化、ワイズスペンディングの徹底、歳出改革の取り組みを継続し、質の高い予算をつくり上げていく」

――金融庁は9月、システム障害が続くみずほ銀行に対して業務改善命令を出しました。いまも検査が続いていますが、今後の対応方針を教えてください。

「みずほ銀行において自らが徹底した原因究明、万全の再発防止を図ることが重要だ。金融庁としてはみずほ銀の対応をしっかりとフォローアップし、検査によるシステム面、ガバナンス(統治)面の点検、確認の結果を踏まえて必要な対応をしたい」

――地方銀行の経営環境は人口減などで厳しさを増しています。経営の健全化と再編についてどう考えていますか。

「将来を見据えた経営改革を時間軸を持ち、着実に取り組むことが求められている。金融機関の合併や統合は、個々の銀行の経営判断に属することではあるが、経営改革の一つの選択肢だと思っている。金融庁としても経営改革に向けた取り組みをしっかり促していきたい」

――首相は企業業績の四半期開示の見直しにも言及しています。

「2つの意見がある。中長期的な企業価値が重視される中で四半期情報の重要性は低くなったという指摘があり、一方で業績の進捗を確認するためにも四半期開示が必要だという指摘がある。投資家・企業の意見と、市場への影響を見極めて検討する」

後藤茂之厚生労働相は、これまでの新型コロナウイルス対策について「国民が不安に陥ったという大きな反省がある」と話し、対策強化に向けて関連法の改正を検討する考えを示しました。(主なやり取りは次の通り)

「コロナ医療、大きな反省」(後藤茂之厚生労働相)

――医療提供体制の強化をどう進めますか。

「今夏の感染拡大『第5波』では健康観察や治療が迅速・確実に行われず、重症化したり、自宅でなくなったりする人が出てしまった。病床の確保が追いつかず国民が不安に陥ったという大きな反省と、今後の課題を抱えている。こうした課題にしっかり対応するため医療提供体制の構築に全力で取り組む」

――病床確保などに向けて強制力を伴う法改正を考えますか。

「改正感染症法では、医療機関に協力を要請し、正当な理由なく応じない場合は勧告や医療機関名の公表ができる。だが、もう少ししっかりとした医療提供体制が可能になる仕組みを検討する必要がある」

「ある程度、強制的な『お願い』ができるかも含めて考えていく課題だ。自治体や医療関係者ともよく意見の擦り合わせをしながら、どうすれば危機に適応可能な体制づくりができるか考える」

――岸田首相は医療、介護、保育などで働く人の賃金アップを進める考えです

「人材確保のための処遇改善は重要な課題だ。公定価格のあり方を抜本的に見直すという首相の指示もあり、しっかり取り組む。今後、検討委員会を立ち上げていくが、関係省庁とよく相談しながら進めたい」

――年金制度の安定的な運用のためにどう見直しますか。

「さらなる厚生年金の適用拡大を進めるという議論もある。次の制度改正に向けて検討していくべき課題だ」

菅義偉政権の政策を引き継ぐと語った閣僚もいます。金子恭之総務相は携帯電話料金の引き下げを続けると明言しました。斉藤鉄夫国土交通相は「Go To トラベル」事業の早期再開を探る方針です。(主なやりとりは次の通り)

「スマホ、乗り換えしやすく」(金子恭之総務相)

――岸田新政権で携帯料金値下げの考えは。

「携帯電話料金の低廉化は前政権が重要政策の一つとして強力に進めてきた。安い料金プランに乗り換えをしやすくする取り組みを進め、今後も事業者間の競争を通じて料金の低廉化やサービスの多様化が進むように公正な競争環境を整備していく」

――高速通信規格「5G」や次世代通信規格「6G」など経済安全保障にかかわる通信政策はどのように進めていきますか。

「5Gなどの通信インフラは社会経済活動の極めて重要な基盤だ。通信の秘密やプライバシー保護といった民主主義の根幹といえる権利の保護と密接にかかわる」

「通信インフラの安全性の確保、サイバーセキュリティーの強化、6Gなどの新たな重要技術の育成や保護を強力に進める」

――NTTグループや放送事業会社「東北新社」による総務省幹部の接待問題では行政に対する国民の信頼が揺らぎました。

「第三者の検証委員会の報告書は総務省と事業者の会食により行政がゆがめられたという事実は確認できなかったと結論づけた。一方、国民の信頼回復に向けた方策を自ら実行するよう指摘もあった。総務省として正面から重く受け止め、国民の信頼回復へ全力で取り組みたい」

――NHKの受信料引き下げに対する見解は。

「受信料引き下げについては、事業規模の1割にあたる700億円を還元の原資として2023年度に値下げする方針を示したことは一定の評価ができる。引き下げの内容を早期に具体化し、着実に実現してほしい」

――新型コロナウイルスを機に国と地方の役割分担の在り方が指摘されました。

「今回の感染症対応では保健所が設置されている市や特別区の感染症情報が都道府県や国に十分に共有できず、互いの連携不足につながった。直面した課題を踏まえ、地方制度調査会などで検討を進めることになっている。国と地方の新たな役割分担の検討に向けて必要な準備を進めていく」

中小に配慮し、「Go To」再開検討(斉藤鉄夫国土交通相)

――観光需要喚起策「Go To トラベル」はどう再開しますか。

「(新型コロナの)感染状況を勘案しながら再開のタイミングや内容などについて感染が再拡大した場合の対応を含めて検討する。旅行会社が実施するツアーや宿泊施設を対象にワクチン接種歴や検査の陰性結果の確認などの効果を検証する。旅行でのワクチン・検査パッケージの適切な運用方法に関する新たなガイドラインの策定につなげたい」

「トラベル事業は土日に(旅行需要が)集中するとか中小事業者に恩恵が少ないという批判があった。昨年12月に閣議決定した総合経済対策では(トラベル事業で)中小事業者や地域に配慮するなどの内容を盛り込んだ。これを踏まえ観光事業者や地域の声を聞きながら検討を進める」

――「県民割」の拡充を考えますか。

「地域観光支援については全国知事会からの緊急提言を踏まえ、観光庁で隣接県から来訪する旅行者についても国の支援対象に加えられないか検討に着手している」

――防災や減災対策はどう進めますか。

「国土強靱(きょうじん)化の5カ年計画がある。関係者が共同して行う流域治水対策や道路ネットワークの機能強化、鉄道・港湾・空港の強化、早期の対応が必要な施設への老朽化対策などを重点的かつ集中的に実施する。危険箇所はたくさんある。どう優先順位をつけて限られた予算を効果的に使うかが重要になる」

――路線バスなど地域公共交通の疲弊が目立ちます。

「地域の公共交通機関は危機的な状況にある。民間による運行が困難な地域では自治体が地域バスを走らせるところが増えているがそれも限界に来つつある。バス路線や離島航路などの維持確保や改善を国費で支える。自治体を主導する地域の足を確保する取り組みも支援する」

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