/

北方領土「不法占拠」5年ぶり明記 返還要求大会の声明

(更新)

岸田文雄首相は7日、都内で開いた「北方領土返還要求全国大会」に出席した。大会アピール(声明)には「北方領土が77年前、ソ連によって不法占拠されたまま今日に至っている」と記した。「不法占拠」との表現が2018年以来5年ぶりに復活した。

19、20両年の声明は「平和条約が締結されないまま」と書き「不法」も「占拠」も使わなかった。21、22両年は「法的根拠のないまま占拠」と記述しつつ「不法」は用いなかった。

ロシアとの平和条約交渉への配慮がにじんだ。安倍晋三元首相とロシアのプーチン大統領は18年の会談で1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速すると一致した。

今回の声明は「混迷する国際情勢の影響を受け日ロ間の平和条約交渉が中断するなど先の見えない厳しい状況だ」と強調した。「北方領土問題の解決がこれ以上長引くことを断じて許すわけにはいかない」と明記した。

ロシアが22年2月からウクライナに侵攻した状況が背景にある。日本は主要7カ国(G7)などと連携して対ロ制裁を続ける。

首相は「平和条約が締結されていないことは誠に遺憾だ」と述べた。「領土問題を解決し平和条約を締結する方針を堅持している」と話した。

墓参をはじめとする北方領土での交流事業に関しては「今後の日ロ関係の最優先事項の一つだ」と語った。「一日も早く再開できるような状況になることを強く期待している」と訴えた。

ウクライナ侵攻前の22年の大会では「18年以降の首脳間でのやりとりを引き継いで粘り強く交渉を進めていく」と言及していた。今回は「引き継ぐ」や「交渉前進」といった表現はなかった。

首相は「北方領土問題は国民全体の問題だ」とも指摘した。「現在のような状況にあるからこそ政府と国民が一丸となることが不可欠だ」と発言した。

林芳正外相は7日の記者会見で、交流事業の再開に関し「高齢になった元島民の思いにこたえたい考え方に変わりない」と主張した。

Twitterで最新情報を発信
政治・外交 最新情報はこちら

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません