中小との価格交渉、日本郵便と不二越が最低評価 経産省
経済産業省は7日、下請け振興法に基づいて、取引先の中小企業との価格交渉や転嫁に後ろ向きな企業を初めて実名で公表した。日本郵便と不二越の2社が、4段階で最低の評価だった。
西村康稔経済産業相は7日、閣議後の記者会見で「中小企業の賃上げを全力で後押ししていく」と話した。エネルギー価格を中心に物価高が続くなか、大企業と中小企業の取引が適正になるよう環境整備を急ぐ。
2022年9月から15万社の中小企業を対象にアンケート調査を実施し、その結果を集計した。10社以上の中小企業から取引先として名前が挙がった約150社の交渉状況についてまとめ、初めて実名を公表した。
コスト上昇の何割について価格転嫁に応じたかの「転嫁状況」と、交渉に応じたかなどの「交渉状況」を公開した。「転嫁状況」ではコスト上昇すべてを転嫁できたらプラス10点、コストが上昇しているのに価格が引き下げられたらマイナス3点など点数化した。回答した中小企業の平均点が7点以上なら「ア」、0点より下なら「エ」として4段階で評価した。
約150社のうち「転嫁状況」で「エ」となったのは日本郵便だけ、「交渉状況」で「エ」だったのは不二越だけだった。それぞれの基準で最高評価の「ア」だったのは住友化学や日本製鉄など7社。
経産省は毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」として、中小企業を対象に価格交渉や価格転嫁が進んだかどうか調査している。
不二越は「結果を真摯に受け止めている。適正な価格転嫁の実現は重要であると認識しており、今後、取引先とのコミュニケーションを一層強化していきたい」とコメントした。
日本郵政の増田寛也社長は7日の定例記者会見で、傘下の日本郵便の評価について「深刻な問題が内在しているのではないかと推測している」と述べた。取引の詳しい実態を調査するよう指示したといい、「どういう対応策をとれるのか検討したい」と強調した。
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