気候変動は「経済・金融リスク」 被害2.5倍、環境白書

政府は7日、2022年版「環境・循環型社会・生物多様性白書(環境白書)」を閣議決定した。世界で豪雨や熱波などの被害が増加し、保険の対象となる被害額が急増していることを踏まえて、気候変動問題は「経済・金融のリスク」と強調した。
気候変動に関連する災害の被害額は17年までの直近20年間で2.2兆ドル(約280兆円)となり、1997年までの20年間と比べて約2.5倍に増えた。気候変動に関連する災害の被害額のうち、保険の対象となったのは21年に約1000億ドルと過去最高の水準で推移している。
豪雨などの災害による物的損害や事業の中止が増え、保険金の増加につながっている。日本で保険金支払いが過去最高となった18年には九州をはじめとする全国各地で記録的な大雨を観測し、7月の豪雨では住居の全壊が約7000件、半壊が1万件以上となるなどの被害が発生した。気象災害による農林水産業への被害額は20年に2000億円以上にのぼった。
食料に関連する温暖化ガスの排出量は人為起源の排出のうち2~3割を占める。食料生産量の調整は自然資源の保護だけでなく、温暖化にも有用だ。環境省などは賞味期限の迫った食品の消費喚起や、外食で食べきれなかった食品の持ち帰りを推奨している。日本の食品ロスは19年度に570万トンだった。