日豪が「円滑化協定」に署名 共同訓練を推進へ

日本とオーストラリア両政府は6日、自衛隊と豪軍が互いの国を訪問しやすくする「円滑化協定」に署名した。入国手続きを簡素にして共同訓練の機会を増やす。軍事力を増強する中国の抑止を念頭に、防衛協力を加速する。
岸田文雄首相とモリソン豪首相がオンライン協議に先立ち、署名した。
共同訓練などで互いの国を訪れる際の手続きや、相手国内に入った部隊の法的な立場を規定する。滞在先の国の法令を尊重する義務を明記したうえで、船舶や航空機で部隊が入国する際の手続きを省略する。活動中に車両を運転したり武器を使用したりする際のルールも定める。
滞在中の事件や事故の対応も盛り込む。日本国内で豪軍が訓練する場合、公務中なら裁判権は豪州がもち、公務に従事していない間は日本の法律を適用する。
豪州は死刑制度を廃止しており、日本国内で豪軍の兵士が凶悪事件を起こした場合の扱いが協定合意の壁になっていた。
日本は米国とは「地位協定」を結び、米軍が日本で活動する際の法的扱いを定めている。同盟国ではない国とこうした協定を持つのは初めてとなる。