少子化対策を拡充、3月にたたき台 政府が新会議設置へ
政府は1月中に少子化対策の拡充策を検討する新たな会議の初会合を開く。関係省庁や有識者が参加し3月末に政策のたたき台をつくる。子ども政策の司令塔になるこども家庭庁ができる4月以降に具体策を詰める。6月の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込む。

岸田文雄首相は6日、首相官邸で小倉将信少子化相と面会し新会議の設置を指示した。小倉氏が座長に就く。内閣官房や内閣府、文部科学省、厚生労働省の局長級が出席する。子育ての当事者や若者らも加わり、政府に求める施策を聞く。
首相は小倉氏に①経済的支援の強化②子育て家庭向けサービスの充実③仕事と育児の両立促進――の具体策を検討するよう伝えた。
新会議は経済支援については児童手当の給付額の拡大などを検討する。子育て世帯向けサービスでは学童保育や病児保育、産後ケアの充実策を練る。
キャリアと育児の両立の推進を巡っては育児休業の取得期間の拡充などを目指す。女性は出産や育児のため離職し、30代以降に再就職すると非正規雇用となる例がある。
女性の労働者に占める正規雇用の比率は20代後半でピークを迎えた後に低下する「L字カーブ」状になっている。小倉氏は6日の記者会見で「L字カーブの修正が不可欠だ」と訴えた。
加藤勝信厚生労働相は6日の記者会見で「長時間労働や子育てにかかる経済的負担など結婚・出産・子育てを阻む要因は絡み合っている」と話した。「それぞれの要因への対策をうっていく」と主張した。
首相は子ども関連予算の将来的な倍増を表明した。4日の年頭記者会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と強調した。

首相は6日、首相官邸で自民党の茂木敏充幹事長と会談した。子ども政策を党でも同時並行で議論すると決めた。財源よりも政策を中心に扱う方向だ。
政府は新会議での協議を踏まえ、骨太の方針の策定前に子ども予算倍増に向けた大枠を提示する。どの時期にどういった政策を実現するか具体的な工程表がポイントになる。
予算を増やすための財源の手当ても欠かせない。自民党の甘利明前幹事長は5日のBSテレ東「日経ニュース プラス9」で「将来の消費税も含め地に足をつけた議論」がいると語った。
甘利氏は党の税制調査会の幹部で、税制改正論議に一定の影響力を持つ。党税調の協議は通例は年後半に集中するが、今年は通年で議論するとの見方を示した。
甘利氏は6日、日本経済新聞の取材に「首相は消費税増税を考えていないと思う。将来、消費税の税率を上げるなら使途は子育て関連の優先順位が高い」と答えた。
鈴木俊一財務相は同日の記者会見で「いま将来の消費税のあり方について具体的な検討をしていない」と述べた。
松野博一官房長官は「消費税は社会保障の財源として今後も重要な役割を果たすべきものだが、当面触れることは考えていない」と言明した。
