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政府、郵政株の最終売却発表 復興財源9500億円確保へ

(更新)

財務省は6日、日本郵政の株式を追加売却すると発表した。発行済み総株式数の約27%分の株式を売り出し、約9500億円を見込む売却益を東日本大震災の復興財源に充てる。2007年10月の郵政民営化から14年で政府出資分の売却がひとまず完了するが、日本郵政は上場企業としての成長戦略を描き切れておらず、民営化プロセスはなお道半ばだ。

財務省は証券会社を通じて投資家の需要を探りながら、10月25~27日の間に売り出し価格を決める。価格決定日の4営業日後までに売却を終える見通しだ。民営化法は政府に対し郵政株の3分の1の保有を義務づけ、超過分を売却するよう定めている。

9500億円を確保するには1株当たり920円程度で売却する必要がある。前回の売却では、売り出し条件決定日の終値から2%割り引いた価格で売り出した。6日の終値は926.6円だった。

日本郵政は6日、政府の売却完了後に1000億円を上限に自社株買いを実施すると発表した。政府の売り出し価格が低く9500億円を確保できない場合は、郵政が買い入れた自社株を消却する可能性もある。総株式数を減らし、政府が追加で株を放出する余地をつくるためだ。

政府は13年1月の復興推進会議で郵政株の売却で4兆円を確保することを決めた。17年9月の2次売却までで計約2兆8000億円を確保。21年6月には郵政の自社株買いに応じて約2500億円分を売却し、残る9500億円の確保が焦点となっていた。

郵政の株価は上場した15年の1999円をピークに低迷が続く。上場時に高値づかみし、後に損切りを迫られた投資家もいる。手紙やはがきの減少は止まらず、ビジネスモデルの転換が遅れていることが根底にある。

日本郵政はゆうちょ銀行の株式の約9割、かんぽ生命保険の株式の5割弱をそれぞれ持つ。郵政民営化法は金融2社の株式の完全売却も求めているが、切り離しは不完全なままだ。

民営化法は郵政の出資比率が5割を下回るまでは、金融2社の新規業務に国の認可がいると定めている。民業圧迫を避けるためだ。かんぽ生命については21年6月に出資比率が5割を下回り届け出制に移行したが、ゆうちょ銀は経営に足かせがはまったままだ。

金融2社はグループの日本郵便が持つ全国2万4000の郵便局を営業基盤とする。日本郵便も2社から得る委託手数料を収益源とし、郵便事業の縮小を補ってきた。資本関係が希薄になれば、持ち株会社として郵政が得る配当は目減りする。

日本郵政は楽天グループに出資するなどデジタル対応を急ぐが、収益の底上げには結びついていない。人口減や過疎化が進む地方の郵便ネットワークの合理化や、巨額の減損損失を出した国際物流事業の立て直しなど課題は山積する。

政府は今回の最終売却に向けて19年春に大和証券などを主幹事証券会社に選び、準備を進めていた。19年夏にかんぽ生命の不正契約問題が発覚したことで計画は一時停滞。9500億円の確保に必要な株価は19年時点では1株1132円だったが、かんぽ問題を受けて20年には700円台まで下落していた。

郵政は21年6月の自社株買いで約2500億円分の全株を政府から購入し、この分も含めて自己株を消却した。総株式数が減少したことで、政府が市場に放出できる株数が増え、1株920円程度で残りの復興財源を確保できる見通しがついていた。

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