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コロナ下の賃上げに距離 経済3団体、成長に確信なく

2022年の春季労使交渉を控え、企業の賃上げに対する姿勢に温度差が目立ってきた。経済3団体が5日開いた新年祝賀会で、岸田文雄首相は改めて賃上げを要請。業績好調な企業からは前向きな受け止めが出たが、サービス・消費関連企業は慎重姿勢を崩さない。新型コロナウイルスの感染拡大に加え、持続的成長への確信が持てないからにほかならない。

「日本経済の局面転換に弾みをつけるため、今回の賃上げに攻めの姿勢で協力をお願いする」。祝賀会冒頭で岸田首相はこう述べ、新型コロナ禍からの景気回復には中間層への分配が重要との考えを示した。

政権としては21年11月、業績が新型コロナ禍前の水準に回復した企業に関し「3%を超える賃上げを期待する」と表明済み。経済底上げには賃上げが欠かせないとの立場を貫く。

経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)も呼応し、5日の記者会見で「もうかっている企業は積極的に社会に還元すべきだ」と述べ、好業績の企業を中心に賃上げを進める方針を示した。

もっとも「賃金は企業と労働組合が話し合って決めるべきだ」と従来通りの立場を強調した。

安倍晋三政権下で続いた「官製春闘」を踏まえ、経済界としてベースアップ(ベア)を中心とした一律の賃金引き上げには否定的な見方を示し続けている。

首相の要請に全面的に応じられないのは、新型コロナ禍によって企業の業績格差が広がっていることが背景にある。

例えば航空需要の急減に見舞われたANAホールディングスの片野坂真哉社長は「ベアは難しい。黒字化とセットで賃金水準を戻していく」と述べた。一時金などと組み合わせて22年度の対応を検討するという。足元で復調しつつある消費の現場に近い企業からも「業種で格差が激しく、サービス業は製造業とは別世界だ」(松屋の秋田正紀社長)などと慎重な声があがる。

業績が堅調な金融界からは「3%引き上げる方向で検討している」(大和証券グループ本社の中田誠司社長)と、具体的な水準に言及する経営者もいた。サントリーホールディングスの新浪剛史社長は「賃上げはするが、ベア中心ではなく頑張りに応じた傾斜配分をしたい」と話した。

経団連の21年春季交渉の最終集計によると、大手企業の定期昇給とベアを合わせた賃上げ率は1.84%だった。政府による賃上げ要請が始まる前の13年以降で、8年ぶりに2%を割り込んだ。

連合の芳野友子会長は5日の記者会見で「賃金は労使交渉によって積み上げるものだ」と政府の動きに警戒感を示した。連合は22年春季交渉で4%程度の賃上げを要求する方針を掲げている。

22年の経営課題として脱炭素社会への対応を挙げる経営者も多い。巨額の費用を投じて脱炭素化を強力に推進している欧米と比べ、「日本が少し世界から遅れているのは明らか」(十倉氏)。日本商工会議所の三村明夫会頭は「原子力の位置付けを明確にしなければいけない」と述べ、30年度の温暖化ガス削減目標の達成に原発が不可欠との見方を示した。

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