訪日客数の回復、期待半分 入国上限7日から1日5万人に - 日本経済新聞
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訪日客数の回復、期待半分 入国上限7日から1日5万人に

政府は7日から新型コロナウイルス対策の入国制限を緩和した。受け入れ人数の上限を1日2万人から5万人に引き上げ、入国時に求めてきた陰性証明書も条件付きで免除になった。経済界ではインバウンド(訪日外国人)消費の回復へ期待と不満が入り交じる。

政府は水際対策として2021年11月下旬、外国人の新規入国を原則停止した。ビジネス客や留学生は3月から受け入れ先による管理を条件に、観光客は6月から添乗員がいる団体ツアーに限り入国を認めるなど段階的に門戸を広げてきた。

今回の緩和で入国枠が増え、添乗員がいないツアー客の入国も可能になる。海外を出発する前72時間以内の検査による陰性証明書が不要になれば、帰国や入国の手続きにかかる負担が減る。

J・フロントリテイリングは「入国上限が5万人になれば訪日客消費はぐっと伸びる」と歓迎する。日本旅行は「欧米など比較的滞在日数が長い国からの訪日に追い風だ」とみる。こうした期待はあくまで前年同月と比べた話だ。

日本百貨店協会によると訪日客の消費指標となる免税売上高は7月に21年7月比で2.6倍に増えた。コロナ禍前の2019年7月と比較すると4割弱の水準にとどまり、回復にはなお遠い。

都内のある百貨店は「今回の緩和でインバウンドの売り上げが急回復するとは考えていない」と政策の力不足を指摘する。大手家電量販店は「インバウンド向け売り場の復活を検討するのは来店される外国人の方がもう少し増えてから」と様子見の姿勢を崩していない。

理由の一つは入国者上限が残ったことだ。主要7カ国(G7)で人数制限があるのは日本だけ。1日5万人という人数は19年に1日平均14万人あまりが入国していたのと比べて半分以下にすぎない。

ビザ(査証)も来日の障壁となる。日本はコロナ前、米国を含む68の国・地域について短期滞在(最長90日以内)ならビザを免除していた。今はすべての外国人にビザ取得を求めている。

在日米国商工会議所(ACCJ)のクリストファー・ラフルアー特別顧問は日本経済新聞のインタビューで「短期滞在ビザの免除再開が必須だ」と訴えた。ビザ取得のために大使館や領事館を訪問する必要があるうえ、発行まで1週間以上かかると指摘した。

ANAホールディングスの芝田浩二社長は6日に「ビザ免除や個人旅行の解禁もG7各国並みに緩和されることを切望する」とのコメントを出した。インバウンド消費の本格回復には水際対策のさらなる緩和が欠かせない。

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