尾身氏、五輪に連日警鐘 政府は感染対策徹底を訴え

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が国会で連日、東京五輪・パラリンピックによる感染拡大や医療体制への影響に警鐘を鳴らす。大会規模の縮小や対策強化を唱え、感染症の専門家として提言をまとめる方針も示した。
尾身氏は3日の参院厚生労働委員会で「開催すれば国内の感染、医療の状況に必ず影響を起こす」と指摘した。「感染リスクや医療逼迫の影響を評価するのがわれわれの責任だ。早い時期に考えを表明しようと思う」と話した。
五輪開催による観客の移動や、海外から来る大会関係者の感染対策に懸念を訴えた。

4日の衆院厚労委でも感染リスクを強調した。「お祭りムードになって普段会わない人と飲み会をすると感染者、重症者が増え、死亡者が出てくることもあり得る」と語った。「やるのであれば覚悟を持った感染対策が求められる」と唱えた。
発端は2日の衆院厚労委での「いまの状況でやるというのは普通はない」との発言だった。このときは「管理体制を強化するのは主催する人の義務だ」と主張した。
田村憲久厚労相は4日、尾身氏の提言について「自主的な研究成果の発表だと受け止める」と述べた。「参考にさせていただくものがあれば、政府でも取り入れさせていただく」とも言明した。
菅義偉首相は「安全、安心な大会を実現する」と繰り返しており、感染対策を徹底して開催する考えだ。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
-
【よく読まれている記事】
- 新型コロナウイルスは体内にいつまで残るのか
- 「コロナに決してかからない人」はいるのか?