米主導の経済枠組み「早期に同志国で」 日米閣僚が一致

【ワシントン=加藤晶也】訪米中の萩生田光一経済産業相は4日、レモンド商務長官、タイ米通商代表部(USTR)代表とそれぞれ会談し、バイデン米政権が創設を目指すインド太平洋経済枠組み(IPEF)の早期の立ち上げが必要との認識で一致した。バイデン政権は多くの同志国を呼び込み、中国に対抗する経済圏を作ることを目指す。
萩生田氏は会談後の記者会見で「近々に、できるだけ同志国を集めてスタートすべきだという点で一致した」と語った。「インド太平洋地域への経済的関与を強化する動きを歓迎している。IPEFの具体化に貢献していきたい」とも述べた。米商務省によるとレモンド氏は日本の支持に謝意を示した。
IPEFは日本や東南アジアの国々と貿易やサプライチェーン(供給網)で連携し、中国に対抗する経済圏をつくる構想だ。バイデン大統領が2021年10月に創設を表明した。貿易や供給網のほか、脱炭素、税・反汚職が具体的な協力分野になる見通しだ。
バイデン政権が国内の反発が根強い環太平洋経済連携協定(TPP)の代わりに打ち出す枠組みだ。ただ参加国が互いに関税を下げる市場開放には踏み込まない。アジア各国は米国の市場開放を望んでおり、関係国の間では実効性に乏しいものになりかねないとの懸念がある。日本はこうした状況も踏まえて具体化を後押しする構えだ。
アジアでは中国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が発足した。中国はTPPにも加盟を申請するなど経済の枠組みづくりで主導権を握ろうとしている。
日本は将来的な米国のTPP復帰に期待するが、米国内では国内産業に影響が出ることへの警戒感が強く早期に戻る気配はない。今回の一連の会談でもTPP復帰は議論にならなかった。
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