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病床確保など国の権限議論 地方制度調査会が本格始動

政府は7日、首相の諮問機関である第33次地方制度調査会(地制調)小委員会の初会合を開いた。第33次地制調は1月に立ち上げた。新型コロナウイルスを巡る対応を検証し、病床確保などに関する国と地方自治体の役割分担を議論する。

小委員会形式で意見を交わすのは今回が初めて。市川晃会長(住友林業会長)は「コロナ禍で国、地方ともに全力で取り組んだがうまくかみ合っていない部分が多かった。何が起きたのか見つめ直す必要がある」と述べた。

岸田文雄首相は立ち上げに伴う1月14日の総会で、国と地方、地方間の関係の調査・審議を求めた。通常は2年ほどかけて最終答申を出す。コロナ対策に反映させるために答申に先駆けて中間報告などを出す可能性もある。

政府・与党などには新型コロナ対策を巡り国と地方の役割分担が曖昧だったとの指摘がある。

緊急事態宣言の発令や行動制限の要請・命令といった対策は新型インフルエンザ等対策特別措置法などで規定する。国の役割を「自治体の総合調整」と位置づけている。感染症対策の権限に関わる感染症法の改正なども含めた議論を見込む。

例えば病床確保に関し国や自治体の権限が十分にあるかは論点だ。感染症法は「厚生労働相と都道府県知事は緊急の必要がある場合、医師や医療関係者に協力を求めることができる」と定める。あくまで協力要請で強制力に乏しいとの声がある。

医療提供体制が逼迫するのを避ける方策も有力な議題だ。病床に余裕がある自治体が他の自治体の患者を受け入れる仕組みづくりなどが検討課題になる。

運営主体が都道府県や政令指定都市、東京都の特別区などにわかれる保健所の体制も焦点になる。緊急時の指揮命令系統が不明瞭だったとの指摘がある。PCR検査の拡充などで目詰まりが起こった要因になったとの見方がある。

保健所の役割を規定する地域保健法の改正が念頭にある。国が直接指示できる権限を持たせたり、保健所の人員を都道府県をまたいで融通したりする解決策を探る。

政府は新型コロナ対策を強化する感染症法の改正案の今国会への提出を見送る。病床確保等に関する国や自治体の権限強化を検討していた。参院選を前に権利の制限を含む法案が国会論戦で争点になるのを避けたとみられる。

コロナ対応以外にも「社会全体におけるデジタル・トランスフォーメーションの進展」などが諮問事項だ。マイナンバー制度の有効活用や行政手続きのオンライン化などを深掘りする。

総務省は地制調に先立ち、省内の研究会で国と地方の権限に関する論点を整理した。緊急時は自治体が担当する業務に国が指示を出せるようにしたり、国の出先機関が代わりに業務を担えるようにしたりする案を例示した。

▼地方制度調査会
地方制度調査会設置法に基づき設置される首相の諮問機関。都道府県や市町村の行財政など地方自治のあり方や課題を審議する。議論の結果は中間報告や答申としてまとめ国の政策づくりや予算編成に生かす。
委員は30人以内と定める。任期は2年で、国会議員や首長、地方議員、学識経験者などで構成する。首相が任命する。
過去に地方自治法の改正や市町村合併を含めた市町村の基盤強化、道州制などについて提言をまとめてきた。
前回の第32次地制調は2020年に人口減少に対応する自治体のあり方に関する答申を出した。40年ごろを見据えて行政のデジタル化を進めるよう求めた。
  • 著者 : 日本経済新聞社政治・外交グループ編
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 2,640円(税込み)

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