岸田首相「暴挙を強く非難」 Jアラート5年ぶり発令

岸田文雄首相は4日午前8時22分ごろ、北朝鮮の弾道ミサイル発射に関し「最近のたび重なる弾道ミサイルの発射に続く暴挙であり強く非難する」と強調した。5年ぶりに日本上空を通過したことを巡り「状況をしっかり確認、分析したうえで評価、判断していかなければならない」と説明した。首相官邸で記者団に語った。
政府・与党連絡会議で「日本の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威だ。地域や国際社会の平和と安全を脅かすもので断じて容認できない」と訴えた。「関係国と緊密に連携し、国民の安全と安心の確保に万全を期していく」と主張した。
政府が全国瞬時警報システム(Jアラート)を発令したのは5年ぶり。首相は午前7時31分に「わが国上空を通過させる形での弾道ミサイル発射は生命、財産に重大な影響を及ぼし得る行為」として関係省庁に指示を出した。
ミサイルが通過したと判断される地域に重点を置き、落下物などによる被害がないか速やかに確認するよう要請した。情報収集・分析の徹底や米国、韓国など関係諸国と連携した対応も求めた。
林芳正外相とブリンケン米国務長官は4日午前、北朝鮮のミサイル発射を受け電話で10分程度協議した。林氏は「日本の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威だ」と述べ非難した。
北朝鮮の完全な非核化に向けて日米や日米韓で連携していくことを確認した。日本が防衛力の抜本的強化に取り組む決意も伝えた。
モンゴル訪問中の秋葉剛男国家安全保障局長は4日午前、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けてサリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と電話で協議した。
秋葉氏は日本の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であると語り「断じて容認できない」と指摘した。両氏は日米や日米韓などの連携を強めることで一致し、具体的な対処策について意見を交わした。
浜田靖一防衛相は4日、防衛省で米インド太平洋軍のアキリーノ司令官と面会した。浜田氏は北朝鮮のミサイル発射に関し「安全保障環境は格段に厳しさを増し、地域の平和と安定にとって日米同盟はかつてなく重要だ」と話した。
アキリーノ氏はミサイルの日本上空通過を「強く非難する」と訴えた。「『自由で開かれたインド太平洋』を維持するためにしっかり取り組む」と言明した。アキリーノ氏は山崎幸二統合幕僚長とも会談した。

金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。