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福島の帰還困難区域、首相「避難指示すべて解除めざす」

12日に葛尾村で解除、東電福島第1原発事故から復興視察

(更新)

岸田文雄首相は5日「将来的に帰還困難区域の全てで避難指示を解除する」と表明した。視察先の福島県葛尾村で記者団に語った。政府は東京電力福島第1原子力発電所事故後、将来にわたって居住を制限する帰還困難区域を設定した。葛尾村では一部地域が12日から同区域として初めて居住可能になる。

政府は21年8月、住民が帰還を求める区域について2020年代の間に避難指示を解除する方針を示した。

首相は「今回の避難指示解除はゴールではなくてスタートだということを肝に銘じる。自治体、住民の皆さんとの意思疎通を大切にしながら取り組みを進める」とも語った。

11年3月の原発事故後、帰還困難区域では放射線量が高いため避難指示が残っていた。政府は17年5月に先行して指示を解除する特定復興再生拠点区域(復興拠点)の制度を設けた。市町村が除染やインフラ整備の計画をつくり、国が認定した。一方で帰還困難区域のうち復興拠点の面積は8%にとどまる。

葛尾村で解除する場所も復興拠点だ。除染で線量が下がり道路などの整備も進んだため、国と福島県、葛尾村が解除を合意し、政府が今月3日、原子力災害対策本部と復興推進会議の合同会合で正式に決めた。

政府は13年8月に避難区域を3つに再編し、段階的に避難指示の範囲を狭めてきた。20年3月までに帰還困難区域を除く2つの区域は全て解除した。

復興拠点は葛尾村のほかに5町村にまたがる。双葉町と大熊町は22年6月以降、浪江町は23年3月、富岡町と飯舘村は23年春ごろの解除をそれぞれめざす。

双葉町や大熊町、富岡町では住民の準備宿泊が始まっている。

区域外に避難する人は高齢化している。葛尾村によると復興拠点で住民登録がある30世帯82人のうち、帰還の意向を示すのは4世帯8人。計画で居住目標に掲げる80人には開きがある。

篠木弘村長は5日「まだ避難指示が解除されない地域があり、そこに帰還できない住民が残されていることは忘れてはならない」と訴えた。復興拠点では集会所や農用地を整備し、村の中心産業だった農業や畜産の再生を図る。

18年に葛尾村に工場進出した金泉ニット(愛知県岡崎市)は5日、首相にニット製品を贈呈した。経済の振興や外部からの人の受け入れも課題になる。

帰還困難区域 政府が2011年12月に再編を決めた3つの避難指示区域のうち、原則として将来にわたって居住を制限すると定めた区域。12年3月末時点での年間被ばく線量が50ミリシーベルト超と高く、立ち入りが原則禁止された。
政府は16年8月に線量の低下を踏まえて一部地域で居住再開をめざす方針を表明した。6町村で特定復興再生拠点区域(復興拠点)を認定し、国費を投じて除染などを進めてきた。

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