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「テレワーク移住」拡大 東京圏人口伸び鈍る、21年調査

全国は12年連続減少 コロナ影響で外国人7年ぶり減 

(更新)

新型コロナウイルス禍に伴うテレワークの広がりが人口移動にあらわれてきた。総務省が4日公表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)の人口の伸びが鈍った。2020年に0.37%だった伸び率は0.07%に縮んだ。

1月1日時点の日本人は前年から42万8617人少ない1億2384万2701人で、12年連続で減った。減少幅が過去最大だった20年の50万5046人から縮小した。

外国人は281万1543人(5万5172人減)で7年ぶりの減少に転じた。日本人と外国人を合わせた総人口は20年より48万3789人少ない1億2665万4244人で、減少幅は外国人の人口調査を始めた13年以降で最大となった。

三大都市圏の人口は13年の調査開始以来初めて減少した。日本の総人口の52.42%の6639万5732人だった。東京圏の人口増加数は2万6323人と20年から11万人ほど減った。

名古屋圏(岐阜、愛知、三重)や関西圏(京都、大阪、兵庫、奈良)は減少率が拡大した。

都道府県別でみると、日本人が増加したのは東京、神奈川、沖縄、千葉、埼玉の5都県だった。人口増加率は沖縄が0.35%で最も大きかった。

東京は全国からの流入により転入者数から転出者数を引いた転入超過などが自然減を補ってきたが、今年は2万7千人ほど減った。新型コロナ禍で「東京離れ」の傾向がみられる。

総務省は「テレワークの普及で移住者が増えた」と分析する。新型コロナでの生活スタイルの変化が反映された。

受け皿のひとつになったのが地方だ。長野県軽井沢町は転入超過が595人で全国の町村でトップとなり、伸び率も3%と2位だった。幼小中一貫校の開設も要因になった。

長野県南箕輪村や福岡県久山町、熊本県菊陽町などは3年連続で日本人が増えた。こうした自治体では子育て支援策の拡充や関連施設の整備、企業誘致などの取り組みが実績につながっている。

日本人の出生者数は84万3321人で5年連続で過去最少を更新した。死亡数から出生数を引いた「自然減」は53万608人だった。

自然減は13年連続で拡大したものの、日本人の転入者数から転出者数などの差分は過去最大の10万1991人増だった。国外への転出者が20年より半減し、日本人人口の減少幅が小さくなった。

外国人の転入者も30万人近く減った。総務省は新型コロナに伴う出入国制限や移動の自粛が影響したとみている。

第一生命経済研究所の稲垣円主任研究員は「地方が移住者を呼び込みたいのであれば子育てや医療介護などの充実に加え、社員のテレワークを支援する企業と連携するなど中長期的に取り組む必要がある」と指摘する。

15~64歳の生産年齢人口の割合は日本人全体の59.09%と4年連続で6割を割り込み、過去最低を更新した。65歳以上の人口は増加しており、全体の28.73%に達した。経済成長を続けるには高齢者や女性、外国人が働きやすい環境を整備することが欠かせない。

最も外国人が多いのは東京の54万6436人で、総人口の4%程度を占める。20年は46都道府県で外国人が増えたが、今年は13県だった。減少幅は東京が最大で、次いで愛知、北海道となった。

北海道の倶知安町や長野県白馬村といったリゾート地で働く外国人住民が多い町村で人口が減少した。新型コロナの感染拡大が観光業に打撃となっている現状を示す結果となった。

全世帯数は5949万7356世帯で42万5837増えた。1世帯あたりの平均は2.13人でマイナス0.02人だった。外国人世帯は164万2469世帯で4万8524減だった。

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