NHK受信料値下げ原資に剰余金積立制度、改正放送法成立

NHK受信料の値下げ原資を確保する新制度の創設を盛り込んだ改正放送法・電波法が3日の参院本会議で、与党などの賛成多数で可決、成立した。2022年度内をめどに施行する。NHKは繰越剰余金を積み立てて、23年度に収入の約1割相当の約700億円を原資に受信料を値下げする方針を示していた。受信料を支払わない世帯に対して割増金の徴収もできるようになる。
NHKの繰越金見込みは22年度末で約2000億円と、収入の3割近くまで膨らんでいる。視聴者から受信料が高いとの批判がある中、値下げ原資を捻出する。
改正放送法・電波法では、放送事業者への外資出資規制を強化する内容も盛り込まれた。22年度内をめどに施行する。
買い増しなどで外資の議決権比率に変更が生じたときに事業者に届け出を義務付ける。外資の議決権比率を定期的に総務省に報告するよう求める。外資比率が20%以上になってもすぐに事業認定や免許を取り消さず、一定の猶予期間を設けて是正させる制度も整える。
放送法と電波法は、外資による支配を防ぐため、地上放送や衛星放送の事業者に対し議決権ベースの外資比率を20%未満にするよう定める。違反した場合は事業認定や免許を取り消す。
NHK受信料の引き下げ策を盛り込んだ放送法改正案は、政府が21年の通常国会に提出していた。野党が総務省幹部への接待問題や放送事業者の外資規制違反を問題視し、廃案になっていた。