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先端半導体「日米一体で」 経産相、IBM幹部らに意向

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【ワシントン=加藤晶也】訪米中の萩生田光一経済産業相は3日(日本時間4日)、日米で協調して最先端の半導体の研究開発に取り組む意向を表明した。ニューヨーク州オールバニにある半導体研究施設を視察し、米IBM幹部らに伝えた。ハイテク分野は米中の覇権争いが激しくなっている。経済安全保障の観点から同盟国の米国と協力を深める。

視察したオールバニ・ナノテク・コンプレックスは産官学で最先端半導体の研究開発に取り組む拠点だ。IBMのほか米アプライドマテリアルズ(AMAT)、東京エレクトロンなどの日米企業が参画している。経産省によると、これまでニューヨーク州や企業が150億ドル(約2兆円)以上をかけて構築してきた。

萩生田氏はIBM幹部らとの意見交換で「量子コンピューターや人工知能(AI)を支える次世代半導体の技術を有志国で開発し実用化していくことが非常に重要だ」と述べた。「最先端領域の研究開発、製造能力を確立するために同盟国である日米でこれまで以上に一体となって取り組みを推進したい」と語った。

日米の参画企業とも協議した。出席者からは「信頼できる国、企業、研究機関の間で連携して最先端の半導体の開発を進めるのが大事だ」との意見が出た。

萩生田氏は視察後、記者団に「(半導体は)経済安保の必要性も高まっている。日本と米国の連携をしっかり強化できるような話し合いをしたい」と強調した。近くレモンド商務長官とも会い、日米の先端技術分野での協力に合意する見通しだ。

日本は現在の最先端より2世代先の技術での協力を想定する。細いほど性能が高まる回路線幅にして2ナノ(ナノは10億分の1)メートル以下を対象にする。2ナノ品はIBMが強みを持ち、2021年に試作に成功した。

米国との協力を目指すのは半導体の開発や生産の国内体制の弱さに危機感があるからだ。日本勢は1990年頃には5兆円程度の半導体市場の5割を占めていた。現在は50兆程度まで膨らんだ市場の1割ほどのシェアにとどまる。

政府は21年に国内生産強化のために台湾積体電路製造(TSMC)の誘致に成功した。回路線幅は10~20ナノメートル台で足元の需要を見込んだ。米国との協力は次のステップで、量子コンピューターなど将来の需要を見据える。

日米は1980年代~90年代に半導体を巡る競争で激しく対立した歴史がある。近年は米中のハイテク覇権を巡る対立が激しくなり、米国は信頼できる同盟国や有志国とのサプライチェーン(供給網)の構築にカジを切る。

日米両国は先端品の生産は台湾などに依存している。台湾有事などの地政学リスクを踏まえて調達先を分散させたいとの思惑もある。

各国は半導体を戦略物資と位置づけ、自国での開発、生産体制の構築を進めている。米国は520億ドルを投じる構想を掲げる。欧州も巨額の財政支援で半導体産業の裾野を広げる方針を表明している。

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