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16カ月予算、膨張懸念強く 政府方針「歳出改革」消える 

政府は3日、2022年度予算編成の基本方針を決めた。21年度補正予算案と一体的に組む「16カ月予算」として、新型コロナウイルス禍で積極的な財政出動を続ける姿勢を鮮明にした。例年明記していた「聖域なき歳出改革」の文言は消えた。来夏の参院選を控えて与党からの歳出増圧力が強まる可能性は高く、危機モードからの正常化はなお遠い。

「必要な支出はちゅうちょなく」

予算編成の基本方針は例年、翌年度予算案の編成が本格化するこの時期に決める。今回は「危機に対する必要な財政支出はちゅうちょなく行う」と明記し、「経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない」と強調した。

岸田文雄首相は3日の経済財政諮問会議で「切れ目のない万全の経済財政運営を行い、メリハリの利いた予算とする」と語った。

政府は20年度、コロナ対応を目的に3度の補正予算を編成し、一般会計の歳出総額は過去最大の175兆円超に膨らんだ。21年11月26日に決めた21年度補正予算案も35.9兆円と、補正予算としては過去最大だ。

国際通貨基金(IMF)によると、日本の国内総生産(GDP)比の政府債務残高は21年時点で米国のほぼ2倍の257%に達する。主要7カ国(G7)で最悪の水準が続いており、財政悪化に歯止めがかからない。

今回は当初、「歳出全般で聖域なき徹底した見直しを推進する」との文言を盛り込む予定だった。20年の前回方針にも同様の文言が入っていたが、自民党の高市早苗政調会長ら積極財政派の意見を踏まえ修正した。「財政健全化に向けて取り組んでいく」との一文は残ったものの表現ぶりは明らかに弱い。

財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は3日、予算編成に向けた建議(意見書)を鈴木俊一財務相に提出した。20年度の歳出総額は「戦後最大の例外」だと指摘し、緊急時の対応からの正常化を求めるなど政府方針と内容は対照的だ。

国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を25年度に黒字化する政府目標についても、建議は「凍結するといった方針変更を行うことなく、財政健全化に向けて着実に歳出・歳入の両面から改革を進めるべきだ」と訴える。

21年度補正予算案を受けて、年度末の普通国債の発行残高は初めて1000兆円を突破する見通しだ。20年度の財源確保で短期国債の発行も急増。建議は金利上昇リスクもにらみ財政余力の確保を求めたが、現実として予算膨張に歯止めをかけられるかは不透明だ。

「賢い支出」の視点、引き続き欠かせず

切れ目のない歳出によって、新型コロナ禍に苦しむ世帯などを支援する政策は必要だ。ただ野放図な歳出が続けば将来世代への債務のツケ回しが膨らみ、財政の持続可能性に対する不安から経済の回復サイクルも遅らせかねない。

これまでの歳出の中身をみても、例えば今夏の感染「第5波」で病床確保の補助金を受け取りながらコロナ患者を受け入れない「幽霊病床」などの問題が露呈した。

高齢化による社会保障費の増加のほか国際的にみて低い労働生産性など、コロナ禍前からの構造問題への対処も欠かせない。「賢い支出」につながる予算案を組めるかが問われる。

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