農産品輸出、22年に最高1.4兆円 米欧の背中遠く
農林水産省が3日に発表した2022年の農林水産物・食品の輸出額は前年比で14.3%増の1兆4148億円だった。10年連続で過去最高を更新した。海外需要の回復や円安による割安感で、新型コロナウイルス禍前から5割以上増えた。2000年以降に急伸している米欧との開きは大きく、拡大する世界の食料需要の取り込みが課題となる。

22年は多くの品目で過去最高を更新した。ホタテ貝は21年から42.4%増えて910億円となり、品目別で輸出額が最も大きかった。主産地の北海道で生産が好調だった。ウイスキーが続き、21.5%増の560億円だった。シンガポールや英国向けといった新市場の開拓が奏功した。
「和牛」として人気が高い牛肉は4.0%減の520億円だった。カンボジアへの輸出減や米国での物価高による消費減退の影響を受けた。米国の輸入の低関税枠消化に伴う関税引き上げも響いたとみられる。
農産品の輸出は好調を維持しているものの、米欧と比べると見劣りする。足元で米国の輸出額は日本の24倍に達する。オランダも15倍ある。人口の増加や食の多様化による世界の食料需要の増加に対応し切れておらず、拡大の余地は残る。
品目ごとの特性に応じた輸出戦略が欠かせない。政府は海外で人気が高いものを「重点品目」に位置づけ、施策を集中させている。牛肉や茶、ホタテ貝など29品目を指定している。
22年にはこれら品目で業界一体となって輸出拡大に取り組む「品目団体」を認定する制度を創設した。23年度中に20品目以上の認定をめざす。