企業の「人材価値」開示、夏までに結論 木原官房副長官

木原誠二官房副長官は2日、日本経済新聞社が東京国際金融機構と共催したシンポジウムで講演した。企業の「人的資本」に関する情報開示の充実に向けた環境整備について「夏までに結論を出していく」と言明した。有価証券報告書での非財務情報の開示を促進するための具体策を詰める。
事前収録のビデオで出演する形で参加した。デジタル化や脱炭素化を巡って「大変革の荒波の中で創造性を発揮するためには人が価値の源泉になる」と唱えた。開示をテコに人材育成への投資や男女の賃金格差の改善などの取り組みを進める。
岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の柱の一つが「モノから人へ」だと強調した。開示の充実によって「企業がどのように人材に活躍してもらうか、株主や投資家と議論し理解してもらうことが必要だ」と説明した。
首相は1月の施政方針演説で脱炭素に資する技術開発などでアジア各国と連携する「アジア・ゼロエミッション共同体」を提唱した。
木原氏は化石燃料を当面使わざるを得ない日本の状況について、アジアの多くの国と共通すると説いた。脱炭素を段階的に進めるための「トランジション・ファイナンス(移行金融)」に関し「考え方の提示や普及は必ず日本の強みになる」と述べた。
企業の発行が増えているグリーンボンド(環境債)についても発言した。「適格性を客観的に認証する枠組みの構築や発行情報を幅広く集約するプラットフォームの整備を着実に進めていく」と語った。
「成長するアジアを取りこみ、アジアの金融ハブへと飛躍を目指していきたい」とも訴えた。
- 著者 : 日本経済新聞社政治・外交グループ編
- 出版 : 日経BP
- 価格 : 2,640円(税込み)
