外務省、米英など106カ国「渡航中止勧告」から緩和
「不要不急の渡航自粛」に
外務省は1日、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて渡航者らに4段階で呼びかける「感染症危険情報」を更新した。106カ国についてレベル3の「渡航中止勧告」からレベル2の「不要不急の渡航自粛」に引き下げた。米国や英国などは2年ぶりに渡航中止勧告から外れた。
外務省のホームページで公表した。「渡航中止勧告」の国は162カ国・地域から中東やアフリカを中心とする56カ国・地域に減った。100カ国超の国・地域を一度にレベル3から引き下げるのは感染拡大後初めて。
米英などは感染拡大を受け2020年3月に危険情報を「渡航中止勧告」に上げて以来の緩和となる。日本とビジネスで関係の深い西欧のドイツやフランス、アジアのインドやタイ、インドネシア、フィリピンなども今回の引き下げの対象に含む。
外務省は判断の理由として「世界全体で新規感染者数、死亡者数は減少傾向にある」と指摘した。ワクチン接種や医療体制なども勘案して危険情報レベルを見直すと説明した。
中国や韓国、シンガポール、オーストラリアはすでに「不要不急の渡航自粛」になっていた。
全日本空輸(ANA)の井上慎一社長は「感染症危険情報のレベル引き下げを切望していた」とコメントした。危険情報のレベル1(十分注意)までの引き下げ、入国者数制限のスピード感を持った緩和、入国時検査の廃止などを要望した。
大手商社は「これまで出張先の選定など制限が多かった。緩和により間違いなくビジネスがしやすくなる」と歓迎する。
林芳正外相は1日の記者会見で「強制力は有しない感染症の危険情報だが一部企業や大学は渡航判断の参考情報としている」と指摘した。「情報収集して適切な注意喚起をしたい」と述べた。