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賃上げ分価格転嫁促す 適正取引へ中小3万社調査 

経済産業省は下請けの中小企業が労働コストなどの増加分を納入価格に転嫁できているか、実態を調査する。10月には最低賃金の引き上げで人件費の増加が見込まれる。納入先の大企業が転嫁をどれだけ受け入れているかを業種別にランク付けして公表する。適切な価格転嫁によって賃上げと物価上昇の好循環をめざす。

経産省は2日、経済団体の首脳や大小の企業経営者による会合を開いた。

出席した梶山弘志経産相は大企業に対し「得た利益を価格交渉により(下請け企業と)適正に分かち合うことが全体の競争力強化につながる」と述べた。経団連の十倉雅和会長は「会員企業に対し、取引先企業との価格交渉に積極的に応じるよう呼びかけていきたい」と応じた。

中小企業の代表として出席したダイヤ精機(東京・大田)の諏訪貴子社長は「受注するのは価格の安いところ。中小企業に価格交渉の余地はない」とし、「(大企業が)価格交渉に応じ適正価格で購入する体制を築いてほしい」と訴えた。

10月には全国平均額で過去最大となる28円の最低賃金の引き上げを控えており、コストの増加を取引価格に転嫁できない中小企業にとってはさらなる打撃になりかねない。10月に中小企業3万社を対象に取引実態を探り、自動車など重点的な調査が必要な業界の企業2000社には、悪質な買いたたきの有無を調べる「下請Gメン」によるヒアリングもする。

調査をもとに、業種ごとに納入先の大企業が中小との価格交渉に応じ適正取引が進んだ度合いを点数化して示す。転嫁が進みやすい業種とそうでない業種をランク付けし、2022年初めをめどに公表する。

不当に低い取引価格の押しつけや契約した納入価格の一方的な減額など、下請法に違反する事例は公正取引委員会と連携して是正する。適正な取引を進めている事例については大企業の社名も含めて公表する。

受注契約と納入価格は複数社の見積もりを比較する「相見積もり」で決まることが多く、中小は受注するために納入価格を低く抑えがちだ。20年に経産省が実施した調査では、人件費の価格転嫁が必要な中小企業のうち、できた企業は48.1%と半分に満たなかった。経済環境の変化を理由に納入価格を引き下げる「協力依頼」を受けた中小企業は全体の41.6%だった。

人件費の上昇を価格に転嫁できなければ企業収益が圧迫され、賃上げは進まない。結果として消費は伸びず、大企業も製品の価格を引き下げざるを得なくなる。大企業を対象とした経産省の調査では、2302社のうち51.1%が下請け業者に求めることにコスト削減対応を挙げた。低価格路線の悪循環を断ち切るためにも、適正な取引の促進が急務だ。

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