冬の節電期間開始 ポイントで後押し、需給なお厳しく

7年ぶりとなる冬の節電期間が1日、始まった。政府は数値目標を掲げず、2023年3月31日まで全国の家庭や企業に無理のない範囲で協力を求める。最低限必要な電力の余力は確保したが、需給はなお厳しい。節電量に応じて買い物などに使えるポイントを付与する各社の取り組みに対し、政府が月1000円分を上乗せする。

電力の余力を示す予備率は最低3%が必要とされる。最も需給が厳しくなるのは23年1月の見込みだ。厳寒の場合の東京電力ホールディングス(HD)と東北電力管内でいずれも4.1%。中部電力から九州電力までの6電力管内で5.6%となっている。
3%は上回ったものの、災害などによる発電所の故障や想定外の気温の低下といった懸念は残るとして節電を求めることになった。
経済産業省は家庭でできる省エネとして▽不要な照明をすべて消すと節電効果は4.5%▽重ね着してエアコンの設定温度を22度から20度に下げると2.7%▽冷蔵庫を弱めて詰め込みすぎないようにすると1.5%――といった具体例をあげる。
電力会社は節電に協力した家庭や企業にポイントを付与し、dポイントやPontaポイントなどに交換できる取り組みを始めた。東京電力HDは23年1~3月に電気の使用量を過去と比べて3%以上減らすと40円分以上のポイントを付与する。申し込み数は11月27日時点で約59万人という。
東京ガスも12月14日から23年3月まで、1キロワット時節電するごとに5ポイントを配布するプログラムを用意する。節電量が一定量を超えると最大3000円相当のポイントを付与する。11月末時点で20万件の申し込みがあった。了解を得た上で、東ガスが顧客の照明やエアコンをスマートリモコンで遠隔制御し使用量を抑える取り組みも始める。
発電に使う液化天然ガス(LNG)の供給途絶も懸念される。ウクライナ侵攻を続けるロシアからの輸入が途絶するリスクがあり、世界中で争奪戦が起きている。米国やマレーシアで生産設備のトラブルで供給計画が乱れるといった事態も起きた。
