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入国枠再拡大へ、感染状況見極め 政府が水際緩和

待機40万人、なお狭き門

政府は1日から新型コロナウイルスの水際対策を緩和し、1日の入国者総数を3500人から5000人に引き上げた。枠の少なさから海外出張の再開に向けた企業などの動きは鈍く、来日を足止めされる外国人40万人の入国には時間がかかる。政府は感染状況を見極めて入国枠の拡大を探る。

成田空港の国際線到着ロビーには1日、外国人の入国者を迎えにきた企業関係者の姿が複数あった。中国やベトナムなどから到着した外国人らが検疫手続きを終えてロビーに姿を現すと、都内の20代男性会社員は「ベトナムからようやく同僚を迎え入れられた」と安堵の表情を見せた。

検査証明書などを確認する検疫所の窓口には一時、手続きを待つ数十人の列ができた。検疫所の担当者は入国者の増加に「効率的に対応できるよう検討していきたい」と話した。

外国人の新規入国の受け入れは観光を除いて再開した。入国後7日だった待機は検査での陰性など条件付きで3日に短縮または解除する。1日時点で米国や中国などは3回目のワクチン接種を済ませていれば待機免除となる。

松野博一官房長官は記者会見で、水際対策の緩和が「日本の社会経済活動の活発化に資する」と期待を示した。「感染状況や入国需要の動向、検疫体制などを勘案して段階的に国際的な人の往来を増やしていく」と語った。

外国人の新規入国には受け入れる企業や学校などが政府のウェブサイトに申請する必要がある。外国人は受付済証を在外公館に提出して査証(ビザ)の発給を受ける。行動計画の提出を不要とするなど手続きを簡素にした。

カーナビ大手のフォルシアクラリオン・エレクトロニクスは海外からの受け入れや海外出張を増やす予定だ。これまで日本へ入国できなかった社員は今回の緩和策を受けて入国の準備を進めている。

田中秀次社長は「今回の水際対策緩和は歓迎するが、諸外国に比べると依然として厳しい水準だ。状況に応じた緩和策や撤廃の検討・実施を求めている」と説明する。

自動車部品世界最大手の独ボッシュは外国籍従業員らの入国が70人規模で滞っている。日本法人のクラウス・メーダー社長は「以前のようにビジネスを円滑にするためさらなる緩和策を期待している」と促す。

企業側には直ちに社内ルールを緩めて出張者を増やそうという動きは少ない。自動車メーカー幹部は「数万人の水準まで引き上げられなければ大きな効果は見込めないだろう」とみる。

日本人を含めた2022年1月の入国者の実績は1日あたり2240人だった。日本人も含む5000人の枠内で外国人が新規に入国する余地は乏しい。1日あたりの入国者数は19年に14万人、コロナ下の20年でも2万人だった。

出入国在留管理庁の調べで在留資格の事前認定を受けながら来日できていない外国人が1月4日時点で40万人いる。資格別でみると留学が15万2千人、技能実習で12万9千人ほどだ。現状の入国枠では、彼らの受け入れは半年を超える長期戦となる。

立命館アジア太平洋大は4月からの新入生を含め1200人程度が入国を待つ。既に厚生労働省への申請を始めているが「この上限では一気に入国は難しい。2カ月半~3カ月かかる」と想定する。

同志社大はおよそ300人が入国待ちだ。入国手続きをできるだけ急ぎながらも、4月の新学期までに全員の入国は間に合わないと見込む。

入国後に待機するホテルなどの確保もネックになるという。同志社大は「待機期間中に食料の買い出しに行けるのかなどを関係省庁に問い合わせているが、細かなところは明確な回答がなくてホテルを決めづらい」と明かす。 

1日あたりの入国者総数の制限は21年春に変異型の対策として1日2000人で始めた。11月下旬に5000人にまで広げたのが最大だ。政府は入国時に検査を実施しており、空港で対応にあたる人員を考慮すると総数をいきなり増やすのが難しい事情はある。

新型コロナを受けた入国規制は2年の長期に及ぶ。「開国」に向けた入国枠の本格的な拡大が急務になる。

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