政府が冬の節電要請決定 数値目標なし、全国で7年ぶり - 日本経済新聞
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政府が冬の節電要請決定 数値目標なし、全国で7年ぶり

政府は1日、この冬に家庭や企業に節電を要請すると決めた。12月1日から2023年3月31日まで全国で求める。冬の節電要請は7年ぶりとなる。節電に数値目標は設けない。電力供給の余力を示す「予備率」は全国で最低限必要な水準を確保したが、なお厳しい状況にある。ロシアなどからの液化天然ガス(LNG)の供給が滞る懸念もある。

1日午前に関係閣僚による会合を持ち回りで開いて決定した。冬の節電要請は15年度以来。7~9月も同様の節電を要請していた。西村康稔経済産業相は閣議後の記者会見で「電力需給は厳しい。想定した需要を上回るリスクもある」と述べた。

政府は無理のない範囲で節電を呼びかける。例えば家庭向けは重ね着や不要な照明を消すといった対策を挙げた。オフィス向けは照明の明るさを落としたり、空調の利用を控えたりする協力を求める。

予備率は23年1月が最も低くなる。寒さが厳しい場合、東北電力東京電力ホールディングス管内はいずれも4.1%。中部電力から九州電力までの6電力管内で5.6%と見込む。

春の段階では予備率がマイナスになる事態も想定した。電力会社に対し、停止中の火力発電所の再稼働や、真冬に原子力発電所が最大限稼働できるよう安全対策工事の前倒しなども求めた。結果、安定供給に最低限必要な3%を全国で確保できたが、需給はなお厳しいと評価する。

近年は事前に見込んだ需要を上回ることが相次いでいるうえ、火力発電所の燃料として使うLNGの調達に不安も抱えている。ロシアでの天然ガス開発事業「サハリン2」は重要な供給源となっているものの、ロシアの出方次第で途絶する懸念は消えない。

輸入量がオーストラリアに次いで2番目に多いマレーシアでは、現地の関連設備が地滑りで損傷し、供給が不安定になっている。米国でもLNG設備で火災が起きるなどトラブルが相次いでいる。

節電によってガス火力の稼働を抑えればLNGの消費抑制にもつながる。政府は企業や家庭が一定以上の節電を達成した場合、買い物などに使えるポイントを上乗せする対策を設けて電力消費を減らす。LNGの輸入量が減少する事態にも備え、全国の電力会社や都市ガス会社の間でLNGを融通し合う仕組みも用意する。

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