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プライム市場って何? 東証再編ビジュアル解説

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2022年4月4日、新市場に移行される

東京証券取引所は2022年4月、現在の1部、2部、マザーズ、ジャスダックの4つの市場区分を「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場に再編する。21年9月には再編後の複数市場の上場基準を満たす企業が、どの市場を選ぶかを申請する期間に入った。長く国内大企業の代名詞だった「東証1部」を廃止し、大がかりな再編に踏み切る目的や上場企業への影響、再編のスケジュールを解説する。

海外マネー呼び込み狙う

東証は22年春の市場再編では、企業に成長を促して投資マネーを呼び込むため、各市場の役割をはっきりさせる。プライムは多くの海外投資家を呼び込む大企業との位置づけだ。現在の東証1部市場は上場社数が2100社を超え、全体の6割が集中している。海外の主要市場と比べても企業数が多い。

業績や売買のしやすさを示す株式流動性の観点から投資しにくい企業が多いとの批判もあった。プライムは1部より上場基準を厳しくし、東京市場の看板として企業の「質」を高める。その一つが流通株式比率で、多くの投資家が取引しやすいよう特定株主の影響力を下げる。

また21年6月には企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が改定され、プライム市場に上場する企業は取締役会の3分の1以上を独立した社外取締役で構成するほか、企業に気候変動リスクの開示を求めている。

企業にとって東証1部より狭き門になるが、プライムに上場できるかは重要な問題だ。最上位にいるかどうかは企業ブランドに大きく影響する。プライムだと投資家層が幅広く、指数に連動した運用を目指すパッシブマネーの流入も期待できる。人材採用や取引の面でも効果は大きい。1部からプライム市場に入るには、市場で流通する株式の比率が35%以上、流通株ベースの時価総額が100億円以上などが条件になる。

「プライム基準」3割、600社超が未達成

東証によると、6月末時点で1部上場2100社超のうち約3割の664社が基準に達していないという。再編後の経過措置により、1部上場企業は希望すれば当面はプライム市場に所属できる。東証から不適合と判定されても適合に向けた計画書を開示したり、追加の情報を出すことで再計算を求めたりすることもできる。

東証株価指数(TOPIX)改革も企業に難しい対応を迫りそうだ。現状のTOPIXは東証1部の全銘柄で構成されるが、市場再編に伴ってプライム市場と切り離される。パッシブ投資家などへの影響を考慮し、新しい基準により算出するTOPIXへの移行は25年1月まで段階的に実施する方針。

流通時価総額100億円以上の基準を設けて絞り込むため、その要件を満たさない企業はTOPIX銘柄から段階的に外れる。指数に連動する投資信託を運用する機関投資家が運用対象から外せば、売り圧力が高まってしまう。

企業はプライムを目指すために対策を打ち出している。目立つのが大株主による売却だ。1部からプライムに移行するには、市場に流通する株式が35%以上というのが一つの条件となっている。大株主が固定されていると流通株式が減るため、創業者などに株式を売却してもらい、流通株式比率を引き上げる考えだ。

衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOトヨタ紡織アドバンスクリエイトなどでは大株主が売却した。東証の算出方法に基づくと自社株の消却も効果的で、日立物流アスクルなどがすでに決めている。

プライムでは流通株式の時価総額で100億円以上が必要になる。5億円未満で上場廃止になるということを定めている現在の東証1部より厳しい。ソーダニッカは初の自社株買いを決めるなど、株主還元やM&A(合併・買収)を通じた成長戦略を打ち出すことが有効になる。

22年1月11日、プライム市場の顔ぶれ公表

東証は21年7月、新市場の適合状況の通知を出した。通知を受けた企業は9月から12月30日までにどの市場へ上場するか選び、東証に申請する。東証は22年1月11日に企業が「プライム」「スタンダード」「グロース」のどの市場を選択したかを公表し、4月4日には新市場へ移行することになっている。

06年に市場再編を行った米ナスダック市場の時価総額は25兆2000億ドルを超す=ロイター

市場区分の再編は世界的に一巡した動きだ。ドイツ取引所は国際基準に従った情報開示を求められる「プライム・スタンダード市場」を03年につくったほか、米ナスダック市場は06年に最上位の「グローバル・セレクト市場」を新設した。東証の再編はそれから20年近く遅れたものといえる。

日本経済新聞社は日経平均株価の算出や選定を22年4月の東京証券取引所の市場区分変更にあわせ、対象市場を東証1部から東証プライム市場に変更する。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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