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抗体カクテル療法やECMO 知っておきたいコロナ治療

(更新)

新型コロナウイルスはワクチン接種が進んでいるものの、感染力の強いインド型(デルタ型)が広がり感染拡大が続いている。大人数での会食などリスクが高い行動を避け、手洗い・消毒などを徹底していても感染してしまった場合、どんな治療や薬があるのだろうか。

軽症は自宅療養が基本

新型コロナに感染した場合の療養先は、自宅療養・宿泊療養・入院の3つに分かれる。医療費は原則公費負担だ。症状は軽症、中等症、重症に分類される。中等症や重症者は通常、入院治療の対象になる。軽症や無症状の場合は自宅や宿泊施設で療養する。軽症でも重症化リスクが高い人は入院する場合もある。

厚生労働省が8月3日付で自治体に出した事務連絡では、患者が急増する地域では入院対象を重症患者と特に重症化リスクが高い人にし、空き病床を確保することを要請した。これが全国一律、軽症や中等症の患者は入院できなくなると受け止められ、反発を招いた。

厚労省は8月5日付で「中等症患者で酸素投与が必要な者」は入院対象と明記し、感染者急増地域が取り得る「選択肢」であることも付け加えた説明文書を追加で公表した。

入院が必要かどうかは最終的に医師が判断する。感染が急拡大し、病床が逼迫すれば、中等症でも入院できない事態は起こりうる。東京都では感染者の多くが自宅で療養している。

自宅療養者には必要に応じて解熱剤などが処方され、家庭内感染に気をつけながら安静に過ごす。療養中のフォロー態勢は自治体によって異なる。保健所が定期的に電話して健康観察したり、オンライン診療、往診を活用したりすることもある。

都は「自宅療養者フォローアップセンター」が患者向けに通話アプリ「LINE」を活用した健康観察や、療養中に必要な食料品や血中酸素濃度が測定できる「パルスオキシメーター」の配送などの支援を行うほか、看護師が電話相談に応じる。

症状が重くなった場合は、センターが居住地の医師らに連絡し、医師が電話やオンラインでの診療や往診をしている。宿泊療養は自治体がホテルを確保し、軽症者や無症状感染者を受け入れている。看護師らが常駐し、自宅療養に比べて体調の急変に迅速に対応できる。

中等症以上で入院、重症化でECMOや人工呼吸器

入院が必要と判断されると、症状の重さに応じて治療薬の点滴や酸素投与、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)による治療などが行われる。エクモは病状が悪化した肺を休ませるため、機械で肺の機能を代替する人工肺だ。高度な知識・技術が必要で操作できる医療従事者は限られる。

治療薬は現在国内で4種類が認められている。抗ウイルス薬「レムデシビル」、抗炎症薬「デキサメタゾン」、リウマチ薬「バリシチニブ」の3つは別疾患用の薬の転用だ。7月に厚労省が特例承認した中外製薬の抗体カクテル療法で使う「ロナプリーブ」は新型コロナ用に開発された。

初の軽症者向け「抗体カクテル療法」、入院リスク7割減

ロナプリーブは「抗体カクテル療法」と呼ばれ、2種類の抗体をまぜて点滴する。ウイルス表面に結合して増殖を抑える。軽症者が使える薬は初めてだ。

対象は持病や肥満などの重症化リスクがあり、酸素投与を要しない軽症、中等症の患者だ。デルタ型などの変異ウイルスにも効果があるとされる。臨床試験(治験)では入院や死亡のリスクが7割減ったとされ、重症化抑制が期待される。

抗体カクテル療法は当面、入院中の重症化リスクがある患者に活用し、早期退院につなげて病床を確保する考えだ。自宅療養者らに外来で投与することも検討している。

米バイオ企業のリジェネロン・ファーマシューティカルズが作った新薬で中外の親会社、スイス・ロシュが開発に協力した。トランプ前米大統領も感染時、特別に投与を受けた。その後、米食品医薬品局(FDA)が20年11月に緊急使用許可を出し、使われている。

重症・中等症向けの薬は「レムデシビル」など3種類

レムデシビルは複数の研究で死亡率低下が報告される一方、世界保健機関(WHO)の治験で死亡率の低下などにほぼ効果がなかった。WHOは「入院患者への投与は勧められない」とする。日本の診療ガイドラインは「重症例では効果が期待できない可能性が高い」と記載する。中等症には効果が見込まれるとして21年1月、肺炎症状のある患者に使えるように対象が拡大された。

バリシチニブは3月、米国やシンガポール、日本など8カ国の国際共同治験の結果で、人工呼吸器を装着した患者にレムデシビルと併用すると回復までの期間が10日間となり、偽薬とレムデシビルを使う場合の18日間より短くなった。デキサメタゾンは重症患者の死亡率を下げるとされる。

中外製薬は複数のコロナ薬候補の開発に取り組む。関節リウマチ薬「アクテムラ」をコロナ治療に転用する治験を行い、現在データ解析中。21年内に製造販売承認を申請することを目指している。親会社ロシュから開発・販売権を取得した米バイオ医薬品企業アテアの経口薬「AT-527」も日本で最終段階の治験を始めた。

富士フイルムホールディングスは4月に抗インフルエンザ薬「アビガン」を新型コロナ治療に転用するため最終段階の治験を再開している。

グラフィックス 荒川恵美子
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