春は家計の見直しのチャンス しばらく収支の見極めを
春の家計見直し術(1)

枕草子では「春はあけぼの」が一番よいと清少納言が著しましたが、「春は家計見直し」の季節でもあります。今月は新社会人のためのヒントも含めて家計見直しを考えてみたいと思います。
春はお金の変動の季節
多くの会社では4月から事業年度が改まります。人事異動や昇格・昇給などが春に行われることは多いと思います。また、転職や再就職で心機一転、仕事をリスタートする人もあるはずです。
学びの世界も春が一区切りです。学生も4月で進学、進級などがあるため、春は大きな転換点になります。
こうした新年度を迎える春はお金の変動が生じる季節でもあります。今週はまず「どんな家計の変化が起きるか」を考えてみたいと思います。
まずは収入の変化を見極めます。
収入はどう変化する?
コロナ下における春闘がどうなるか厳しい予想が報じられていましたが、いくつかの会社ではベースアップを勝ち取ることができたようです。労使交渉の成果が実った会社では、その分は給与のアップということになります。
あるいは昇格に伴う昇給が実現することもあるでしょう。年齢給などが上積みされることもあります。このあたりは会社内の人事ルールにもとづきますが、自分は上がるのか、どれくらい上がるのか、給与明細で確認しておきたいところです。
転職をしたことで、年収がアップしたという人もいるかもしれません。試用期間がある場合は、まずはその何カ月間か緊張感を持って働き、キャリアアップを確実なものにしていく必要があります。
あるいは共働きを再開して世帯の合計年収がアップする、なんて変化もありそうです。
逆に、売り上げが大きく減少している業種などでは、賃下げ(勤務時間減による月収減も含む)や解雇などによって家計の収入がガクンと下がることになった、という人もいるでしょう。
いずれにせよ、収入の変化に無自覚では困りますから、自分の家庭の収入の「春の変化」をしっかり見極めておく必要があります。
入学や卒業、引っ越しなど支出も変化
次に見ておきたいのはやはり収支の「支」つまり支出の変化になります。
こちらは特に「支出増」がないか確認しておきたいところです。子どもが進学した場合、学費はもちろんですが、いろいろな費用負担が生じます。高校に進学したので定期券が必要だとか、何かと外食が増えて支出が増えるとか、そうした変化も積み上げれば結構な金額になるものです。
転勤で都心に出てきたため生活コストが上昇する、なんて可能性もあります。しばらくは家計を引き締めて過ごしたいところです。
新社会人あるいは20歳代の会社員が、この春に一人暮らしをスタートさせた場合、おそらく相当の支出増になります。今まで親と同居していた中で、負担をしてもらっていた生活コストがたくさんあったことに気がつくことになりますが、これも独立の最初の関門といえます。
もちろん「支出減」もあります。保育園に通っていたが幼保無償化(3歳クラス)になったので保育料がかからなくなった、なんてこともあります。子どもが社会人になって学費負担から卒業することもあるでしょう。若い方にはまだ遠い話ですが、住宅ローンを完済して負担が減るという例もあるでしょう。
日々の買い物の増減を追うのは第2段階のステップでかまいませんので、家族の変化に伴う支出の基本的な構造変化があるかを読み取ってみてください。
数カ月かけて動きをみてみよう
収支の変化は4月1日にダイナミックに表れるわけではありません。数カ月かけて徐々にはっきりと形になるものです。
子どもが高校に入学したとすると、定期代の負担は入学式の後すぐ目に見えます。しかし、友だちとの交際が深まる中で、喫茶店のお茶代やファミレスの外食代などがかさむようになるのは、やはり数カ月たってからです。
これから何カ月か様子をみながら、「新年度の家計収支」を把握していきたいものです。
もし、お金の流れを「見える化」するなら、4月はその区切りとしても絶好です。ZaimやマネーフォワードMEのように自動記帳の機能がある家計簿アプリの初期設定をしておくのもいいですね。
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「FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏が若年層に向けて、「幸せな人生」を実現するためのお金の問題について解説するコラムです。毎週月曜日に掲載します。