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日本だけか? 世界か? 成長の源泉を見極めろ

積立王子への道(27)

投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。

今の相場の延長線で考えてはいけない

長期投資の道しるべとなる心得の第2条は「お金は将来の成長を見いだせる対象に投資する」だ。コロナ禍の過去1年あまり、世界中の株価が右肩上がりだが、これは特殊な事象だ。感染拡大で縮小する経済活動を支えるため、主要国が大胆に実行している最中の量的金融緩和と財政投入が相まって短期的な景気浮揚への期待が極大化した結果、実体経済と乖離(かいり)してマーケットが過熱している。

真面目な資産形成を目的とする投資家は、もっともっと長い目線でマーケットの性格を理解する必要がある。つまり株式市場における長期的な価格形成は、よって立つ実体経済の成長軌道をトレースする、という原理原則を知ることだ。

株価はよって立つ経済の成長軌道をトレースする

過去数十年間の米国株式市場を振り返ると長期的に右肩上がりの価格上昇が実現している。これは決して偶然でなく、土台である米国経済が長期安定的に成長軌道を描いているからに他ならない。成熟経済であるにもかかわらず、一段の成長を追求する地力がある。米国の産業界は厳しい自由競争下で常に新陳代謝し、新たなビジネス・産業が勃興し、育ち、今も世界経済の主役であり続けている。

この先も人口は増え、消費規模が拡大し、持続的に巡航速度での経済の成長期待が見いだせる。併せて世界で最も発達した資本市場が存在し、世界中からマネーが集まる構造も持っている。米国株が史上最高値圏にあるのは、米国経済が毎年成長を続け規模の更新を続けていることと密接な相関関係にあるわけだ。

どこが成長するのか 日本か? 世界か?

一方、日本はどうか? 20世紀に高度経済成長を終えた日本経済は平成期にはほとんど成長できない状況が続いた。成長しない日本経済に立脚した日本の株式市場が低迷を続けたのは、合理的に説明がつくことだ。今後も日本社会では高齢化と人口減少が急速に進み、相対的に高い経済成長軌道を見いだすことは難しいと言わざるを得ない。とすれば、単に「日本人だから」という理由で自らの長期資産形成における投資対象を日本に限定するのは合理的選択とはいえない。

日本のみならず欧米でも資産運用の主流となる考え方は、世界の経済成長軌道を長期資産形成におけるお金の働き場所に定める発想だ。将来にわたって長期的に最も安定した経済成長軌道が見いだせるのは、地球全体すなわち世界経済であるとの前提に立った考えだ。

長期的には価格は価値に収れんする

とりわけ21世紀に入り、世界の経済活動は国境を越えて一体的に営まれるグローバリゼーション構造が定着。地球規模でみると極めて安定した経済成長が続いてきた。世界全体では今後も人口増加が続き、持続的成長軌道を描くと考えるのは合理的な仮説だ。そして世界経済の成長軌道を資産運用の対象として捉える方法が、各地域に適宜資産配分したポートフォリオを投資対象とする「国際分散投資」だ。

これまで解説してきた通り、相場は短期的にはデタラメに動き、非合理な価格形成を繰り返すが、長期的には「価格(株価)は価値(実体経済の成長軌道)に収れんする」―― これは長期投資でお金を育てる上での一丁目一番地といえる鉄則なのだ。こうした株式市場の習性にのっとり、将来にわたって安定的な成長軌道が見いだせる投資対象にお金を働きに出すことは、長期資産形成の運用成果に直結する大事なファクターであると覚えておこう!

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。

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積み立て投資には、複利効果やつみたてNISAの仕組みなど押さえておくべきポイントが多くあります。 このコラムでは「積立王子」のニックネームを持つセゾン投信会長兼CEOの中野晴啓さんが、これから資産形成を考える若い世代にむけて「長期・積立・分散」という3つの原則に沿って解説します。

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