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オミクロン・ショック 米利上げ確率がほぼ半減

先週、南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異ウイルスが発見されたとの報道が流れたとき、筆者の初期反応は「これで利上げ観測は後退する」の連想であった(関連記事「突発的コロナ要因、米利上げ議論に冷や水」)。

その後、市場では米国の政策金利目標の変更可能性を示す、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の「Fed Watch」に大きな変化が見られた。2022年6月の連邦公開市場委員会(FOMC)までに1回以上の利上げを見込む確率が、1日で82%から43%に急落したのだ。

先週の急落直前までは、市場は22年中ごろの利上げをほぼ織り込んだ、といわれたが、潮目が一気に変わった。

ただ、この日のニューヨーク市場は感謝祭後の半ドンで、市場参加者も少なかったので、変動幅が誇張された可能性はある。

とはいえ、11月FOMC声明文にも「今後の経済が歩む道は、ウイルス次第である」と記されている。新型コロナウイルス「オミクロン型」の感染状況が仮に深刻化すれば、米国金融政策は機動的対応を迫られよう。

まずは、テーパリング(量的緩和の縮小)をペースダウンする可能性がある。12月FOMCの時に発表されるFOMC参加者の政策金利予測(ドット・チャート)では、利上げを見込む参加者が減少するかもしれない。12月FOMCが開催される12月14~15日までに、オミクロン型に関する不透明感が晴れるとも思えないので、難しい予測となろう。

筆者の視点は、FOMC参加要人発言。特に、タカ派と見られていた人物がハト派寄りになるかもしれない。更に注目は、ハト派の重鎮、サンフランシスコ連銀デイリー総裁だ。消費者物価の上昇率6%や、小売売上高好調など良好な経済指標を受け、「22年に1~2回利上げをしても驚かない」と語り、ハト派の変節か、と注目されていた。

しかし、最終決断はデータ次第なので、オミクロン型をきっかけに再び見解を変える可能性もある。FOMC参加者はFOMCのほぼ1週間前から「ブラックアウト期間」に入り、公的発言は控えられる。その間、民間の市場には様々な見解が流れ、市場も神経質になろう。

なお、ドット・チャートと、民間のFed Watchとの差が、どうなるかも、興味深いところだ。

まずは、今週末発表の11月雇用統計。デイリー総裁も、11月雇用統計と11月消費者物価指数を見て、利上げについての見解を決める、と具体的に語っていた。その雇用統計が、オミクロン型の雇用への影響を果たしてどこまで取り込んでいるのか、疑問である。

株式市場への影響としては、利上げが遅れれば、一つの買い要因にはなろう。財政も含め、市場は政策対応に期待する。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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