賃貸の住み替え、キャリアとライフスタイルで柔軟に
家を借りる・家を買う(2)

今月のテーマは「住む」場所とお金についてです。賃貸の部屋を借りる、家を買うということを考えていますが、今週は賃貸の引っ越しとお金についてです。
リフレッシュのための引っ越し、賃貸生活の楽しみ
部屋を見回してみたら、何年も前から同じモノが飾られているホコリを被った棚がありませんか。あるいはキッチンのシンクやバスルームの設備がかなり傷んでいることもあります。家に帰ってきても感動ゼロになっているなら、そろそろ引っ越しを考えてみるタイミングかもしれません。
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あなたがもし賃貸暮らしなら「引っ越し」により、気分を変えることもできます。テレワークが増えているとき、窓を開けることもできない都会のワンルームマンションに暮らすくらいなら、ちょっと郊外に出て、緑が見える広い部屋を選んでもいいでしょう。家賃は変わらないか、うまくいけば下がることもあります。
引っ越しは私たちの気分を変える力があります。著名人には引っ越し魔が何人かいて、例えば葛飾北斎は生涯に100回近い引っ越しをしたとか、ベートーベンは年2回くらい引っ越ししていたといわれています。引っ越しすると気分転換になり、才能をリフレッシュする力があるのかもしれません。
引っ越しは経験を積む意識を持つ
引っ越しをするとき、いくつかの要素を意識するとあなたのその後の人生にも役立つ経験となってきます。

こうした経験はいずれもマイホームを選ぶときの参考になります。賃貸なら嫌な部屋を引き払うことができますが、マイホームではそうはいきません。ぜひ賃貸暮らしのうちにいろんな経験を積んでみてください。
ステップアップは控えめに
ただし、引っ越しのときにグレードアップをするなら控えめにしておきましょう。自身のキャリアのステップアップを後追いするくらいがいいのです。
年収がアップしたから家賃を上げるのはOKです。しかし「もう少しで年収が上がるはずだから引っ越しは先行して高い部屋にしちゃおう」というのはおすすめできません。
家賃の高い生活、広くてすてきな部屋の生活を一度スタートしてしまうと、そこから生活を落とすのは大変です。やりくりできなくて安い部屋に戻るというのは、やはりテンションが下がりますし、改めて引っ越しする費用もかかります。
自分の人生をちょっとロングスパンで見つめてみて「今回のステップアップはこのくらいで」というイメージが持てるといいでしょう。
例えばワンルーム暮らしだった人が「次は2部屋」「次は風呂、トイレ別」「いつかはメゾネットで50平方メートル以上の部屋を」のように、ちょっとぜいたくするイメージをしてみましょう。すると、その次の引っ越しにも楽しみを残すことができます。
賃貸暮らしの引っ越しを楽しんでみよう
賃貸の引っ越しは、ほんの少しだけ「遊び」があっていいと思います。というのは、いつか住宅ローンを組んで持ち家を取得するときがきたら、頻繁に引っ越しすることはできなくなるからです。家を買った後は、買い替えて別の場所に住むことはもうないかもしれません。あっても人生で数回くらいでしょう。
長い人生を振り返ってみると、賃貸暮らしの時間も決してムダになりません。むしろ懐かしさを覚える人生の思い出となるかもしれません。そして、賃貸で過ごした時間が、いつか考えることになるマイホームにつながっているのです。
来週はマイホーム購入の是非について考えてみます。
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「FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏が若年層に向けて、「幸せな人生」を実現するためのお金の問題について解説するコラムです。毎週月曜日に掲載します。