中古戸建ての耐震性 木造は2000年6月基準かチェック
20代からのマイホーム考(19)

東日本大震災から10年が経過しようとする今月13日、福島県沖で発生した地震であの当時の記憶がよみがえったという方も多いと思います。こうした中、テレワークの浸透で郊外の中古戸建てを購入しようと考えているものの、その耐震性について不安を抱く方もいらっしゃるでしょう。今回は中古戸建ての耐震性のチェックポイントについてです。
2000年6月1日以降の基準の木造住宅か
「新耐震基準ならば耐震性があって安心だ」とよくいわれています。新耐震基準とは、1981年6月1日以降の建築確認において適用される基準です。これ以前の基準を旧耐震基準と呼んでいます。マンションなど鉄筋コンクリート造の建物は新耐震基準であれば旧耐震基準の建物よりも一定の耐震性があるといえますが、木造住宅の場合、2000年6月にも耐震性に関する基準が改正されており、その前後でも耐震性に差があるといわれています。
00年6月の改正は、地盤調査を事実上義務化したこと、構造材同士の継ぎ方を特定したこと、耐力壁のバランスを計算することなどが主な改正点となっており、これ以前の木造住宅より耐震性が高まっています。もし、00年5月31日以前の基準で建築された中古戸建を購入したいけれど不安だという方は、建築士にお願いすれば耐震性や補強の要否などをチェックしてもらえます。しかし、地盤調査は行われていませんので、軟弱地盤なのかどうかなどが不明という問題は残ります。
地盤が弱いと建物倒壊リスク高まる
建物が建っている「地盤の状態」が地震による建物の破損や倒壊に大きく影響するということを知っている人は少ないのではないでしょうか。一般に、建物が倒壊する可能性が高いか低いかについては、以下のような関係があるといわれています。
「地盤が悪い」+「耐震性が低い」 → 倒壊リスク高
地盤の良しあしは、地盤が硬いか軟らかいかということです。地盤が軟らかいと地震の揺れが増幅するため、建物倒壊リスクが高まります。まな板の上に豆腐をのせ、その上に建物がのっていると想像してみてください。まな板を揺らすと、まな板よりも豆腐は大きく揺れますよね。問題は、地盤が硬いのか軟らかいのかについては、地盤調査を行っていないとその状態が分からないということです。
地理院地図などで地盤を簡易チェック
地盤調査のように精緻ではありませんが、地盤の状況を知る方法として国土地理院の「地理院地図」の地形分類の利用が考えられます。地形分類には自然地形と人工地形があり、以下に示した地図は東京の中目黒駅周辺の自然地形です。知りたい場所をクリックすると土地の成り立ちやこの地形における一般的な自然災害リスクについて解説がポップアップします。中目黒駅周辺の黄緑色部分は目黒川流域の氾濫平野で土砂が堆積した場所となっており、地盤は軟弱で地震の際にやや揺れやすいと説明されています。

人工地形も同様に好きな場所をクリックすれば、切土(きりど)地かなどや、その災害リスクについて情報が得られます。
このほかに、東京都内の参考資料となりますが、「地震に関する地域危険度測定調査」も参考になります。これは、地震による総合的な危険度を地域ごとにランク付けしたもので、建物倒壊危険度(建物倒壊の危険度)、火災危険度(火災の発生による延焼の危険度)、災害時活動困難度(消防車などの緊急車両の通行など災害活動の困難度)から総合的な危険度を導き出したものです。
中古戸建の耐震性が気になる場合、00年6月以降の基準で建築されたかどうかをまずはチェックし、それ以前の建物で心配な場合は建築士のチェックを受ける、地盤情報を入手するなどしてみてはいかがでしょうか。

住宅資金は老後資金、教育資金と並ぶ人生三大資金です。20代、30代から考えたい「失敗しないマイホーム選び」について不動産コンサルタントの田中歩氏が解説します。隔週月曜日に掲載します。