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70歳まで働く そんな時代が始まる

70歳リタイア時代の働き方(1)

70歳以上になっても働ける会社はすでに31.5%もある(写真はイメージ=PIXTA)

3月は定年退職者の多い季節です。会社の制度にもよりますが、60歳に到達した年度末の3月末を退職日としている会社の場合、仕事が一区切りとなります。そこで今月は「リタイア年齢」について考えてみます。私たちの人生はいつか現役から退き、リタイア生活に入ります。今その年齢は変化しようとしています。

4月、70歳雇用確保への一歩が始まる

これまで進められてきたのは「65歳現役社会」への移行でした。公的年金の標準的な受給開始年齢が65歳に引き上げられたこともあって、いま会社は65歳までの雇用確保義務があります。定年退職年齢を60歳としている場合でも、65歳までは継続雇用などで働く場を提供しなければなりません。

今年の4月、この雇用確保の取り組みが一歩前進することになります。「70歳雇用確保の努力義務」が始まるのです。昨年の国会で高齢者雇用安定法が改正され、今年の春から施行されるものですが、これは長い目でみたとき、70歳現役社会への一歩として記録されることになるでしょう。

私たちは「65歳がリタイア年齢」というイメージを見直すべき時期に来ているのです。

65歳以降の「雇用確保」は幅広い

とはいっても、今回の法改正では70歳までの働き方について幅広く捉えています。定年制度の廃止、あるいは70歳までの定年年齢の引き上げ、そして70歳までの継続雇用制度が掲げられていて、これは従来の65歳継続雇用をそのまま5歳引き上げるイメージですが、さらに2つの選択肢が加わります。

例えば、個人と会社が業務委託契約を結ぶような形で70歳まで働くというスタイルも認められます。また、事業主が自ら実施している社会貢献事業、あるいは事業主が委託、出資などをしている団体が行う社会貢献事業に従事させることで、70歳までの雇用確保と見なすこともできます。

加わる2つの選択肢については「創業支援等措置」という呼び方をしていますが、65歳で起業をした元社員と取引をするようなことも「70歳まで働くスタイル」として考えているわけです。単純に継続雇用だけを想定していた65歳現役社会とはちょっと違う趣があります。

歴史的にも数十年ごとに引退年齢は5年延びてきた

過去を振り返ってみると、私たちの引退年齢は徐々に引き上げられています。少し歴史をさかのぼってみます。

現在の65歳雇用確保が義務化されたのは2006年4月からです(2013年に完全義務化)。遡って60歳より若い定年年齢の定めが禁止されたのが1998年ですが、60歳定年の努力義務がスタートしたのは1986年とされています。

戦後すぐの定年年齢は55歳といわれています(その頃は、女性だけ30歳定年のような男女差別規定を設けていた会社もありました)。ざっくり10~20年で5歳くらいの雇用年齢の引き上げが繰り返されている、というイメージでしょうか。努力義務規定をまずおき、10年ほどかけて完全義務化に移行していく繰り返しです。

引退年齢が延びた理由のひとつは、長寿化です。1960年の平均寿命は男性が65歳ですから、55歳定年でもおかしくありません。引退して10年ほどのんびりしたらお迎えがくる、という感じです。しかし今では約9割の男性は65歳まで元気で、平均余命がそこから20年ある時代です。引退年齢が70歳まで引きあがるのはまったくおかしいことではありません。

若い読者はむしろ「遅くとも20年でリタイア年齢が5歳は高まる」と考えておいていいでしょう。あなたの年齢がもし、まだ20~30歳代なら、自分の引退年齢を70歳と考えるのさえ早すぎるかもしれません。

すでに3社に1社は65歳を過ぎても働ける

70歳までの雇用確保といっても、実態は先行しています。65歳を過ぎても働ける会社がすでに増えているのです。

厚生労働省「2020年高年齢者の雇用状況」をみると、65歳以上も働ける会社が増えていることが分かります。まず、65歳定年企業も全体の18.4%を占めていますし(ただし大企業は11.9%)、66歳以上でも働ける制度のある企業は33.4%もあります(こちらも大企業では28.2%)。なんと、70歳以上も働ける制度のある企業も31.5%あるのです(やはり大企業では26.1%と下がる)。

みなさんの印象からすると「え、そんなに高いの?」と思われるかもしれません。しかし、中小企業の現場などでは人材不足は切実で「働けるならいつまでもいてくださいね」という会社が、すでに3社に1社まで広がっているというわけです。

65歳以上も働ける社会は、手に届くところまでやってきているのです。それは今春の法改正により、さらに加速することになるでしょう。

そうなると問題は「会社が雇ってくれるか」ではなく「自分はいつまで働きたいのか」に変わっていくことになります。これこそが、70歳現役社会に向き合う大事なテーマなのです。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp

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