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スマホ見直し、そこから? アルファベットの海に溺れる

知っ得・お金のトリセツ(40)

節約の要諦は現状認識。何に対して、いくら払っているかを把握すべし――。「お金周り」担当記者として幾度となく紙面で繰り返してきたフレーズだ。保険しかり、投信しかり、ローンしかり。だが、こと「自分ごと」となると触れたくない弱点があった。そう、スマホ通信費。毎月1万円以上かかっており高いと認識している。乗り換えをすれば安くなることも知っている。でも目をそらしてきた。だって分からないんだもん……。

MNO、SIM…アルファベットの海で溺れる

私だけ? 皆さんはお分かりなのだろうか? やたらとアルファベットがちなスマホワールドの用語を。MNOとMVNOの違い。格安SIMと格安スマホって同じ? 違う? SIMロック解除とは一体何をどうすることか? そしていざ最終局面に出てくるMNPの手順とは?

いずれもスマホ乗り換えに必要な基本概念だ。猛勉強した。MNOとはMobile Network Operatorの略で自社でネットワークを整備・運用している携帯電話会社のこと。要はNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク、楽天モバイルの大手キャリア4社を指す。楽天参入前は大手3社で9割のシェアを握り、価格競争が働かないことが国際比較で割高な日本のスマホ通信費の原因だとして、2018年に当時官房長官だった菅首相が「携帯料金は4割下げられる」と迫ったのがコトの始まりだった。

格安スマホは安いけれど…

MNOに対して文字間にVirtualが入りMVNO(Mobile Virtual Network Operator)になると仮想移動体通信事業者を意味する。「仮想」と聞くと人工知能(AI)的な最先端をイメージしがちだが実際は逆方向。MNOから空いた回線を借りて賃貸通信サービス、いわゆる「格安SIM」を提供する業者だ。最近はSIMだけでなく端末とのセット販売が増え、ほぼ同義で「格安スマホ」と呼ばれることも多い。関西電力の子会社オプテージが運営する「mineo(マイネオ)」や通信大手インターネットイニシアティブの「IIJミオ」などが代表的。

「SIM(Subscriber Identity Module)」とはスマホ内の携帯識別番号などが書かれたICカードを指す。MVNOの格安SIMを使うと大手キャリアと比べおよそ半額に通信費を抑えることができる。月5000円程度の節約につながることも珍しくない。ただ、自分でSIMカードを交換して初期設定するなどの面倒があったり、混雑時間帯には借りている回線の通信速度が遅くなったりするデメリットがある。

新たなアルファベット登場

と、せっかくここまで理解したのに春以降また新たなアルファベットたちが加わる。NTTドコモが「ahamo(アハモ)」をKDDIが「povo(ポヴォ)」を出す。ソフトバンクからは「SoftBank on LINE」……と、思っていたらすぐさま名前も「LINEMO(ラインモ)」に変わった。

これらはMNOによる「オンライン専用プラン」たちのこと。店舗では契約できない代わりコストを抑えるというアプローチは格安スマホと共通だが、使っているインフラはMNOだから自前。これまで携帯料金節約といえば主役だった、対抗軸の格安スマホとは関係がない。しかもややこしいことにKDDIの「UQモバイル」やソフトバンクの「ワイモバイル」といったサブブランド、すなわち「MNOの格安バージョン」もまた別に存在しており、これはこれで値下げ攻勢を繰り広げている。

本当に簡単になったのか?

これまで携帯料金で問題視されてきたのが「高すぎる」ことと「複雑すぎる」こと。春からのオンライン専用プランは、要は20ギガ(ギガは10億)バイトのデータ通信が税別2480円で使えるプランと思えばいい。それに1回5分までの通話かけ放題が500円でセットで付くか、オプションで付けるかの違いだ。いわゆる「家族割引」や「2年縛り」の影響はなく、価格体系は確かに分かりやすい。

一方で横並びそのもの。選ぼうにも決め手にかける。MNO、サブブランド、オンライン専用ブランド、MVNOとプレーヤーが増えたことで、消費者にとっては別の複雑さも増した。何はともあれ重要なのが己を知ること。出発点は自分は何ギガの人間なのか、だ。その確認と見直しの方法を書こうと思ったが、前段でいっぱいになってしまった。やはり恐るべし、スマホワールド……。

山本由里(やまもと・ゆり)
1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

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