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長期と短期 違いは投資のリターンの源泉

積立王子への道(22)

投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。

株価は相当程度コロナ後の回復を織り込んだ

世界の株式市場は年明け後も今のところ好調だ。理由は前回解説した通りだが、マーケットの勢いとは別に株価水準自体をみると、コロナ後の景気急回復を前提とした企業業績の伸びを相当程度まで織り込んできている。コロナウイルスの感染再拡大が止まらず業績下振れがあらわになれば一転、売りが出るだろう。

短期筋は買った後は早晩売ることが前提だ。なのでまわりが売り始めれば連鎖して売りが膨らむ。かくして短期的な相場は常に上がったり下がったりを繰り返すものなんだ。つまり目先の相場の上下はもっぱら「買いと売りの量」(これを専門用語では「需給」と呼ぶ)のシーソーで決まるわけで、要は参加者全体の「もうけたい」と「損したくない」の強弱にすぎない。将来に向け真面目な資産形成を目指す長期投資家はそんな日和見な感情変化に到底付き合ってはいられないよ。

 短期売買のリターンの源泉は値動きそのものだ

短期売買の投機筋にとっては、日々の価格変動こそがリターンの源泉なんだ。価格が上下するからこそ、もうかりもし損もする。だから躍起になって目先の値動きを当てようとする。他方で長期投資のリターンは投資対象の価値増大、すなわち成長から育まれるものだ。企業が世の中に必要とされ、人々を豊かにする製品やサービスを提供するビジネスに必要な産業資金となるのが長期投資マネーの役割だ。

長期投資のリターンの源泉は世の中に必要な企業の成長

いろはちゃんもハジメくんも、それをまっとうに行うプロが運用する投資信託を選んで自分たちの代わりにステキな仕事をしてもらえばいいんだ。投資家と運用者で目標を共有した資金はこんな役割を果たす。つまり投資先企業の事業が人々を喜ばせ社会的評価を得られることによって売り上げが増え、利益が積み上がり、企業価値が大きくなる。すると株価はおのずと実体価値に相応な水準へと長期的に上昇していく。成長に立脚した長期的な価格の上昇こそが長期投資で報われる利益であり、投資対象のビジネスが世の中に役立つことによって、必要な資金を提供した長期投資家にもお礼としてのリターンがかえってくるわけだ。

長期マネーは未来に向け活動を止めない世界経済に寄り添う

だからこそ、足元の株価の上下は長期投資家にとっては無意味なノイズ(雑音)にすぎない。無視したっていいものだ。そしてビジネスが世の中を豊かにするために必要な時間軸が長期投資でお金が育って行く期間だとすれば、大きく育てるためには何十年もの長い旅になるんだよ。世界の経済が未来に向けてエンドレスで活動を続け成長する限りは、長期投資マネーはそこに貢献することで育ち続けるはずだ。2人とも人生を通じて続ける気概でカッコいい長期投資家になろう。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。

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積み立て投資には、複利効果やつみたてNISAの仕組みなど押さえておくべきポイントが多くあります。 このコラムでは「積立王子」のニックネームを持つセゾン投信会長兼CEOの中野晴啓さんが、これから資産形成を考える若い世代にむけて「長期・積立・分散」という3つの原則に沿って解説します。

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