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所得は正確に申告 でも節税に取り組むのも大事

税金を考える(4)

今月はLife is Taxということで、私たちの人生と税金の関係を考えてみましたが、最後に考えてみたいのは「税金を少なく納める方法」です。

節税と脱税は何が違うのか

稼ぎに応じて税金を負担するのは日本に住む人の務めであり、それから逃れることはできません。本来納めるべき税を納めない「脱税」は罪となります。そして、本来納めなければならなかった納税額にペナルティーや遅延利息を上乗せして多くの税金を納めることになります。

しかし、「節税」と「脱税」は違いますので注意が必要です。

「節税」は法の認める範囲で、お金の置き所を変えたり受け取り方を変えたりすることで、納税額を少なくする方法を考えることです。これは法に反しているわけではありません。

一方で「脱税」というのは、一言でいえばウソをつくことです。会社の売り上げを少なく帳簿に載せたり、外国為替証拠金(FX)取引やオークションで高額の収益をあげながら、その事実を隠すなどして税金を減らそうと考えるような行為はご法度です。会社員の場合、副収入がない限り脱税になる恐れはありませんが、もし高額の収益を得た場合は隠さず申告をするようにしましょう。

iDeCoやNISAがお得な理由は税制にあり

多くの人が利用している「節税」方法といえば、住宅ローン減税の活用や個人型確定拠出年金(iDeCo)や少額投資非課税制度(NISA)の活用ということになります。これらの制度がなぜもてはやされているのか、といえば「税金」の面でお得になるからです。

NISAは運用によって生じた収益に課税されませんし、iDeCoも運用時の収益は非課税というメリットがあります。リスク資産で投資をしたとき、値下がりして苦しい時期もあれば値上がりして我慢が報われるときもありますが、収益部分の20.315%は税金として払わなければなりません(復興特別所得税を含む)。

仮につみたてNISAで毎月2.3万円の積み立て投資を30年やったとして、年利4.0%の収益をすべて再投資した場合と、課税されて3.2%で再投資した場合を比較すると、差額は209万円にもなります(非課税の場合、最終受取額は1596万円にもなる)。

差額の209万円は、法にもとづいて納めずにすんだわけですから、あなたの未来の豊かさとして活用してよい財産になります。節税を生かさない手はありません。

iDeCoについては、毎月の積立金が課税対象から除外されるというメリットもあります。所得控除といいますが、自分の老後のために積み立て、今受け取ることを選択しない、というだけで、所得税や住民税の節税につながるのです(ただし、iDeCoは受け取るときには元本と運用益の総額が課税対象になりますが、年金と同じ控除があるので税負担は軽減されます)。

仮に税率が20%くらいだったとして(所得や控除の状況による)、毎月2.3万円、つまり年27.6万円の収入を課税後に受け取っていたら手取りは22万円ほどになってしまいます。しかし、iDeCo口座には27.6万円がそのまま入金されるわけですから、これだけで「年55200円の収益」「25%の利回り」が上がったようなものです。先の例のように30年分を積み重ねると、これまた累積165.6万円にもなります。やはり使わない手はありません。

会社員が所得控除を受けられる制度は、住宅ローン減税とiDeCoの掛け金くらいしかありませんから、こうした「節税」のメリットはぜひ活用してみたいものです。

税制は少しずつ変わる ときどきチェックをしておきたい

ところで、税制は少しずつ変化していきます。税制というのは、時代の要請に合わせて見直しが繰り返されているからです。ですから適宜、最新の情報をチェックすることも大切です。

例えば、20年以上前にはiDeCoはありませんでした。NISAもまだ始まってから10年もたっていない制度です。これらの情報をキャッチして、税制優遇を得つつ資産形成できた人とそうでなかった人には大きな差がついてしまいます。

期間限定で講じられた措置が終了することもあります。祖父母から孫への教育資金贈与のように一定期間だけ行われるものなどは、終了が予定されています。こうした制度も利用できるうちに上手に活用する必要があります。

一方で政策的な意義が認められると、期間が延長されることもあります。住宅ローン減税などは、手直しをしながら、なかば永続的に続いています。

所得控除の仕組みが見直される場合などもあり、会社員であっても税制改正は無縁ではありません。

税に興味や関心を持つ中で、上手に税制とつきあっていき、あなたのマネープランを有利なものにしていきたいものです。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp

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