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在宅勤務で注目の戸建て住宅 見学のポイントは

20代からのマイホーム考(36)

リモートでの業務遂行が可能になったので環境のよい郊外の一戸建て住宅もマイホームの選択肢に入れたいという方が増えています。今回は一戸建ての購入を検討されている方が、現地見学の際に押さえておきたいチェックポイントについてご紹介しましょう。

事前調査で古地図や地理院地図をチェック

見学予定の物件の住所を確認して、ハザードマップで水害などの自然災害リスクを調べておくのは当然として、事前に古地図、地理院地図をチェックしておくとよいでしょう。

古地図は、「比較地図」が便利です。ウェブで検索すればすぐに見ることができ、明治から大正時代の地図と現在の地図を両方同時に閲覧することができます。かつて水田や沼地、畑だったなどということもわかりますし、粗い等高線も記載されていますので、当時の地形もイメージしやすいです。

国土地理院の「地理院地図」で検索すると出てくる「地形分類(自然地形・人工地形)」も便利です。その土地がどのような成り立ちなのか、自然災害リスクはどのようなものが考えられるか、調べたい地点をクリックするだけで表示される優れものです。

最寄り駅から現地まで歩く

不動産業者が車で案内してくれるケースもありますが、できれば自らの足で最寄り駅から現地まで歩いてみましょう。特に気に入った物件については、平日と休日の朝昼晩と歩いてみるのがベストです。

通勤通学で危険な箇所がないか、例えば交通の激しい場所や、夜間は明かりが少なく人気も少なそうな場所、がけ崩れの危険性がありそうな場所などがある場合、迂回路の有無などをチェックします。「ひったくり注意」といった看板があるような場所は、そういった事件に注意すべき場所と認識しておくとよいと思います。

併せて、周辺の施設などを確認します。例えば最寄り駅にある商店や病院、公園、幼稚園や小中学校といった施設だけでなく、ゴミ焼却施設、葬儀場、変電施設、高圧線など嫌悪施設と呼ばれる施設の有無もチェックします。最寄りに個人商店などがあるならば、帰りに買い物をしながら、街の状況やよい情報、悪い情報などを「取材」してみると、さまざまな情報を入手できることがありますのでお勧めです。

道路の状況を確認

街並み、日当たり、風通しなどは当然として、道路の状況は要チェックです。同行している不動産業者に、建築基準法上の道路(建築が可能な道路)かどうか、公道か私道かを確認しましょう。私道の場合、道路の維持管理費用の負担があるかもしれませんし、道路に埋設されている給排水管が私設管である場合があります。地震で水道管が破損したという事案を最近目にした方もいらっしゃると思いますが、私設の給排水管が破損した場合、給排水管の交換や道路掘削などの金銭負担が発生することがありますので注意が必要です。

道路幅員が狭い場合、セットバック(一般には道路中心線から2メートル下がり、その部分を道路として提供しなければならないというルール)についても確認しましょう。また、道路幅員が狭い、敷地の間口が狭い場合、既存建物の解体や新築工事の際、大きな車や重機が敷地内に入れないなどの問題が生じ、工事費が思った以上にかかってしまうこともあります。

このほか、境界標が全てそろっているかどうかも現地で不動産業者と一緒に確認しておきましょう。境界標は売買対象となる土地の所有権の範囲を示す重要な印ですから、曖昧にしておくことはできないものなのです。

中古建物は専門家に見てもらう

中古建物については、建物を外から眺めて、ゆがみやひずみがないかどうか、塗装が劣化しはがれていたり、壁や基礎に大きなひび割れなどがないかをチェックします。室内は、見学中に細かいところまでチェックはできないことが多いと思いますが、天井に雨シミなどがみられないか、扉や窓がスムーズに開閉するか(スムーズな開閉ができない場合、建具または建物のゆがみが考えられます)などをチェックしておくとよいでしょう。

ただし、建物の劣化状況のチェックについては、同行してくれている不動産屋さんも専門家ではないことがほとんどです。なにがしかの劣化の状況を確認できたとしても、すぐに修繕すべきなのか、しばらく様子を見てもよいのか、修繕費用はどの程度なのかといったことに答えられる不動産屋さんは少ないのが実情です。

こうしたことに対しては、インスペクターなどの建物の劣化診断や維持管理の専門家でないと的確な判断ができないことが多いので、気に入った物件が出てきた場合、再度見学と診断を売り主にお願いし、インスペクターに同行してもらうのがよいでしょう。費用は、最低限のチェック項目の実施で5万~6万円程度、床下や屋根裏などもチェックすると10数万円前後です。

田中歩(たなか・あゆみ)
1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、「あゆみリアルティーサービス」を設立。不動産・相続コンサルティングを軸にした仲介サービスを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」にも参画。

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住宅資金は老後資金、教育資金と並ぶ人生三大資金です。20代、30代から考えたい「失敗しないマイホーム選び」について不動産コンサルタントの田中歩氏が解説します。隔週月曜日に掲載します。

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